HUNTER×HUNTER
□episode3
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瑠奈は河原でイルミのことを考えていた。
「なんでだろう…」
「なにが?」
「だから、イルミさんのこと…って、え?わたし1人でここに来たはずだよね?」
振り返るとイルミが立っていた。
「イルミさん…!」
瑠奈はガチガチに固まった身体を動かそうと必死に立とうとした。
「どこへ行くの?」
イルミは瑠奈の腕を掴む。
「あの…イルミさん…腕、痛いです…」
「ごめんごめん」
イルミは腕を離すと瑠奈の顔を覗く。
イルミの黒くサラサラとした髪が瑠奈の顔にかかる。
「ねぇ、瑠奈って言ったよね、俺のこと知ってるの?なんかそんな感じする」
「いえ…あの、」
「本当、お前ってわかりやすいね」
イルミはクスクス笑う。
「イルミさん、今からあたしが話すことは嘘だと思って構いません、本当のことですけど」
「お前は嘘を付くような匂いはしない、信じるよ」
イルミは瑠奈の横に腰を下ろした。
「実は、わたしはこの世界の人間だったんですけど、神様?の手違いってやつでつい最近まで違う世界で暮らしていたんです、こことは違う次元の、違う世界で…、そしてその違う世界で神谷に出会った、そして、わたしがこの世界の人間だと、クルタの生まれだと聞きました、当然信じられなくて取り乱して、でもここに来て分かりました、わたしがこの世界の人間で、わたしが生まれた世界にわたしが存在してはいけないこと、沢山泣きました、向こうの世界のお友達、家族、みんなと会えなくなる、こんなこと言ってますけど家族、死んだんですよね、わたしが殺したんです、ここへ来る直前に…耐えられなくて生きてることが許せなくて、そしてこっちの世界へやって来たんです、わたしは」
イルミは瑠奈を無意識のうちに抱いていた。
「イルミ…さん?」
「イルミでいいよ、瑠奈」
どきりと瑠奈の中の何かが脈打った。
「でも俺を知っていることとは繋がらないよ」
「向こうの世界で、ここの世界はおとぎ話のような世界なんです、もっと和らげて言うと、本の中の世界なんです、ここの世界は」
「なるほどね、じゃあこれから起こることも分かるんだ?」
「ある程度であれば…」
瑠奈はうつむく。
「わたしはクルタ族です、家族も何もかも、四年前のクルタ惨殺事件で失いました」
「こっちの世界へきて何故殺し屋なんて職業選んだの?」
「そうすれば自ずとお金持ちの暗殺以来もきて人体収集をしてる人に出会えるかと思って、仲間の目を、緋色の目を探してるんです」
「世界7第美色の一つ、緋の目、見たことないんだよね、俺も」
「わたしの目を見てください」
イルミは瑠奈の目を見て目を丸くする。
「これが緋色の目です、この目を狙って蜘蛛はクルタを狙った」
「クロロのことも知ってる訳だ」
イルミは下を向く。
「わたしは、クロロを狙うつもりも旅団を倒そうかなとかも思ってませんよ」
「それ聞いて安心したよ、お前、殺されるよ、旅団なんて狙ったら」
イルミは瑠奈の頭に手を置く。
「本当にお兄ちゃん向きですね、イルミ」
「俺堅苦しいの嫌いなんだけど?」
「キルアのこともなにも言わないから安心して、キルアには大切な試練なの分かってるから」
「そんなことまで知ってるの?まいったなー」
はははと笑うイルミ。
「よかった、笑った」
瑠奈はにこっと笑う。
「俺ってそんなに笑ってない?」
「いつも悲しそうな顔をしてる」
瑠奈はうつむく。
「そろそろ戻ろうか」
ギタラクルに戻ったイルミは瑠奈の手を引き会場へ戻った。