学園アリス

□憂鬱
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此処は高等部の寮の瑠衣の部屋。

今日の授業が休みな瑠衣はずっと部屋に篭るのが嫌で散歩しようと制服に着替えていた。

「…はぁ」

朝から深い溜息をつき制服に着替えた瑠衣は外へ出る。

しばらくボーッとしながら歩いていると初等部まで来ていたみたいだ。

「あら…こんなとこまで歩いてきちゃったのね、少し休憩しようかしら」

また深い溜息をつきベンチに腰掛ける。

先日瑠衣が瑠奈の同級生に付けた呪いがずっと発動している。

今日も朝から絶好調で発動していた。

「ほーんと馬鹿なのね、痛いって分かってるくせに制約破るんだもの」

しばらく空を仰いでいた瑠衣。

「お兄さんこんな所で何してはるんですか?」

いつかの日中等部寮の前であった女の子が瑠衣に話しかける。

「何って散歩よ散歩」

瑠衣は溜息をつく。

「あ、お兄さん中等部寮の前で会った人や!」

女の子はニコニコ頭を下げる。

「ああ、手紙渡してくれた子ね、あの時はありがとう」

瑠衣は女の子に気付き軽くお礼を言う。

「うち初等部B組の佐倉蜜柑言います!」

「…高等部A組の周瑠衣よ」

瑠衣は蜜柑に隣へ座るよう促す。

「周さん言うんですね!」

「瑠衣で良いわよ」

瑠衣はぶっきら棒にそう答える。

「瑠衣先輩は瑠奈先輩と仲良いんですか?」

「…そうね、他の人より断然仲良い方だと思うわよ」

瑠衣はクスクス笑う。

「瑠奈先輩のこと好きですか?」

蜜柑は瑠衣を凝視する。

「…それはどうゆう感情の好きなの?」

瑠衣は困り顔で笑う。

「…ちゃんと女の人として、好きですか?」

蜜柑の顔は真剣だ。

「…そうね、好きよ?どうしたの?小学生がそんなこと聞いて、恋愛の悩みでもあるのかしら?」

「え?!いや、その…」

蜜柑は縮こまりながらもぞもぞする。

「お姉さんが聞いてあげるわよ?」

瑠衣はクスクス笑うと蜜柑に向き直る。

「うちのクラスに棗ってやつおるねんけど…、棗、いつもうちをからかって遊ぶんよ…でも、うちもそんな嫌だって思ったことないしむしろなんか…気になるし…」

蜜柑はポツリポツリ話し始める。

「…あんた棗くんのこと好きなの?」

瑠衣はぽかんと口を開ける。

「棗のこと知ってはるんですか?」

「知ってるも何も…能力別クラス一緒だしそりゃ知ってるわよ」

「棗、みんなと仲良くしてはりますか?」

「…さぁね、あの子は私らと仲良くしたいと思ってないんじゃないかしら?」

瑠衣は遠くを見つめながら話す。

「たまに…瑠奈先輩が棗を迎えに来てるんです…能力別クラスだけなら場所も知ってるはずだし迎えに来なくても良いんじゃないかって…」

「…瑠奈が棗くんを迎えに行くのは任務がある時だけよ」

「…危険能力系の任務って何してはるんですか?」

「…人に言えるような内容ではないことは確かよ、他の能力別クラスとは訳が違う」

瑠衣は溜息をついて俯く。

「棗、体強くないみたいなんです、能力の形の影響で」

「あー、寿命縮めちゃうタイプね…でもね、これは教えておいてあげる、いくら寿命縮めちゃうタイプって分かってても学園はそんなのに目をくれないわよ、特に棗くんや瑠奈みたいに能力が大きすぎると尚更任務も馬鹿みたいに降ってくるわ、この学園にいたらあの子達の寿命は縮まるばかりよ」

瑠衣は拳を握る。

「その任務…なくせないんですか?」

「こればっかりはあのガキどうにかしないとダメね、危険能力系の任務は全部初等部校長預かり、あのガキが全部握ってるのよ、あたしたちの運命を」

そう言って瑠衣は立ち上がる。

「瑠衣先輩?」

「何してんの?次能力別クラスでしょ?」

「なんでそれを?」

「この歳になると全部の時間割が頭に染み付いちゃうのよ、ほら送ってあげるから行くわよ」

瑠衣は蜜柑を促す。

「はーい!!」

蜜柑は走って瑠衣の後をついて行った。
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