学園アリス

□縮まる2人の心
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瑠衣の部屋へ来た瑠奈はそう言えば初めて来た事に気付き急に恥ずかしくなる。

「ここ、座っていいわよ」

瑠衣はベッドの上をポンポン叩く。

『お邪魔します…』

ゆっくりベッドに腰掛け俯く。

「取り敢えず泣いたんだから目冷やしなさい、腫れるわよ」

保冷剤を取り出しタオルを巻くと瑠奈に渡した。

『ありがとう』

瑠奈はひんやりする保冷剤を目に当てる。

「あーあ、女の子泣かすなんて男の片隅にも置けないわねーアタシったら」

瑠衣は瑠奈の横に座る。

それを聞いて瑠奈はクスクス笑う。

「なによー」

『瑠衣って男の自覚あったんだ』

「失礼しちゃうわね、アタシはバイセクシャルなの、女の子を好きになる事だってちゃんとあるんだからね」

瑠衣は膨れる。

『へー?初めて聞いた』

瑠奈は保冷剤を目から外し瑠衣を見る。

「初めて言うもの」

『じゃあ今好きな女の子いるの?』

瑠奈は真剣な顔で瑠衣を見る。

「…いないわよ、今は」

瑠衣は全てを悟りそう答える。

『そう…』

瑠奈は内心ホッとしていた。

瑠衣に気付かれたことも知らずに。

「じゃあ聞くけど、瑠奈は好きな男とかいない訳?」

瑠衣はニヤリと笑う。

『い、いない!いるわけない!』

瑠奈は顔を真っ赤にして俯く。

ドサリ…

床を見たのに何故か視界には瑠衣の顔と天井が見えた。

「嘘はいけないわよ?」

瑠衣は瑠奈の耳元で囁く。

『…ちょっ!』

瑠奈はくすぐったくて身をよじる。

「もう一回聞くわよ?好きな人、いないの?」

『〜〜〜っ!瑠衣…意地悪だよ…』

瑠奈はそっぽを向く。

「じゃあアタシの好きな人聞きたいの?」

瑠奈の心臓が跳ねる。

(瑠衣の…好きな人…?)

『さっき居ないって…!!』

「ああ、あれ嘘、聞きたいなら瑠奈の好きな人教えてちょうだい?」

瑠衣は黒笑みを浮かべ瑠奈の首筋にキスを落とす。

『んっ…、私の好きな人…気付いてるんでしょう?』

「本人の口からちゃんと聞きたいじゃない?」

『意地悪…、私の好きな人…、瑠衣だよ…ずっと前から…瑠衣が好きなの…!!もういいでしょ!今度は瑠衣の番!!』

瑠奈は顔を真っ赤にしてそっぽを向く。

「じゃあこっち向いて」

『な…にッ、ん…っ?!?!?!』

瑠衣が瑠奈の唇にキスを落とした。

「アタシの好きな人…瑠奈よ」

瑠奈は何が起きたのか分からなくなっていた。

『えっ?えっ…?』

「だから!アタシの好きな人は瑠奈だって何回言わせるつもり?」

瑠衣は瑠奈のおでこをペチンと叩く。

『だって瑠衣…』

「ああ、翼くんのこと?別にあれはあれで恋愛感情なんかじゃないのよ?」

『え、そうなの…?』

瑠奈は涙を浮かべる。

「あー、ほらせっかく冷やしたんだから泣かないの!」

瑠衣は慌ててティッシュで涙を拭くともう一度キスを落とす。

『だって瑠衣がいじめるんだもん…』

瑠奈は泣きながら笑う。

「いじめてないわよ、ほら、今日はもう寝ましょう?」

『うん、瑠衣、好きだよ…』

「アタシもよ、瑠奈」

2人は電気を消して眠りについた。
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