ノベル(短編)

□暗闇
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友達以上恋人未満という関係は、なんとも難しい関係なんだろうと私は少女漫画を読みながら毎度のこと考える

まぁ生まれてこの方恋愛に関して何の経験もない私が考えることではないのだろうが

友人から借りた少女漫画を読み終わる頃にはすっかり辺りは暗くなっていた

『やっば...集中しすぎた...』

家に帰ってから読めば良かった...
と後悔しながらも机の横に掛けてある鞄を急いで肩に担いで、教室の明かりを消しに行く

パチンッ


『....』

パチンッ

想像以上の暗闇に思わず、またつけてしまった。

怖いところは苦手という訳ではないが

『めっちゃ怖い』
「なにが?」

『ぎゃぁぁあああ!!!!!』
「!?」

とっさに叫んだ

人間って怖いと叫ぶって本当なんだね

そんな私の突然の叫びにその声の主は一瞬驚き、ぶひゃひゃっと笑いだした

『って黒尾じゃない!?お前、女の子を脅かすなんて最低だ!』
「ちょっと待て、なまえが勝手に驚いただけだろ」

確かにそうですね。




「にしてもなんでなまえがこんな時間まで残ってんだよ」

『いや、逆になんで黒尾ここにいるの?』

「俺はさっきまで部活、んで、教室がまだ明るいから様子見に来たんだよ」

『あ、なるほど』

「てかさ、お前もしかして暗いとこ苦手なの?」

『!?苦手じゃないし!ってなんだよそのバカにしたような顔は!』

黒尾の顔はめちゃくちゃにやついていて非常にムカついた

「そうか、そうか」
そう言うと黒尾は電気をパチンッと消した
『!?』

パチンッ

反射的につけてしまった


『・・・』
「・・・」


つかの間の沈黙


すると黒尾がふーっと深いため息をついた
「やっぱり怖いんだな」
『いや!違っ...』


そう反論しようとした、瞬間黒尾の大きな手が私の手を包み込んだ

ドクンッ
心臓が突然鳴る

『えっ!黒尾!?////』
「はい、消すぞー」

そうひとこと言うと
まだテンパっている私を放っておいて黒尾は電気を消す。

一瞬握った手に力が入る

だが、すぐに黒尾の手から伝わる暖かい温もりを感じ

力が緩む

「ほら、これなら怖くないだろ?」

そう言って黒尾は私の手を優しく引っ張ってくれた


あぁ、きっと漫画のヒロインもこうして恋に落ちたのかもしれない




ねぇ

あなたのその優しさは

友達だから?

それとも








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