ギラリン長編

□you 2
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《マイマスター、リンク。おかえりなさい。》

「…っ!ファイッ!」
一瞬、目を輝かせて喜んだ。でも、やっぱり心を乱す記憶。

「ファイ、ただいま。ねえファイ、分かんないんだ。僕はどうしてまたこの地に来たの…?」
《ファイは使命を終えた身、それはファイには記憶されていません。》
「そ、そうだよね…ファイの方がよくわかんないよね、」
《マスターリンク、貴方を呼び覚ましたのは確かにこのファイでした。しかし、それは使命ではなく無意識故、女神様のお考えなのではと。》
「ゼルダ…!ゼルダだ!」
《それが妥当かと。ゼルダ様を捜索することを推奨します。》


女神像内部から出てみると、ゼルダがそこにはいた。
「ゼルダっ…!」
「リンク。」
「…?」
「この地に呼ばれた理由を知りたいのでしょう?」
コクリ、頷く。心臓が痛いほどドクドクと波打つ。
「…貴方をこちらの地にうつした理由は一つです。」

聞きたくない、そんな気がする。

「魔王の剣の消滅。精霊の抹消です。」

目の前が白く霞んで、
心臓が黒くなるのを感じた。

「待って…、ギラヒムは僕が倒したんじゃないの…?!」
「精霊は魔王消滅しても尚、また復活させようとしています。その証明に貴方の生きた、この地とは別世界に”ギラヒム”がいたことがそうです。」




呆然とその場を後にしたマスターに、声をかけようとした女神の剣の精霊…しかし。
「ファイ。ぼくがギラヒムを1度この手で殺めたことに変わりない。でも、それでも…生きているのなら、死んでしまうなんて未来を救ってあげることくらい、許されるかな?」

綺麗な涙を流す自分の主。主がいうことは、確かに世界を棒に振るかもしれない。100人が100人間違っていると言うだろうし、幼馴染であり女神であるゼルダを裏切ることになる。それでも、自分は主が間違ってはいないと思った。単に主についていく、それだけじゃなくて自らの私念も込めてついていこうと決めた。

《ファイはマスターリンクの言葉を承認します。貴方についていくことがファイの役目でもあります。》
「ありがと…ぅ、ファイ。」


ゼルダのいた女神像を見つめて、一つ、涙の粒を落とした。
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