キャラと関わらずに済む方法は? 2
□43話
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目覚めた時、アタシは誰かに背負われていた。
――このふわっふわな茶髪……沢田か。
ぽんぽんと沢田の肩を叩くと沢田は顔だけ振り向いた。
「よかった、目が覚めたんだ……!」
嬉しそうに顔をほころばせる沢田。
「……なんで背負われてるの」
「覚えてないの? 咲夜ちゃん、歩いてる途中で急に倒れたんだよ」
「……そう」
アタシは戦いの最中で気絶したが、土宮こずねに関するもの全てが消え、あの戦いもなかったことになった。
そのため『歩いてる途中で倒れた』という記憶が上書きされたのだろう。
「なあ、『土宮こずね』って知ってる?」
「『土宮こずね』……?」
「ああいや、知らないならそれでいいよ。それより下ろして」
「え、でも……」
渋る沢田の背から無理矢理下り、歩き出す。
動かなくなっていた足は普通に動かせるようになっていた。
服についていた汚れも体の細かい傷も疲労感もなくなっている。
あれらも『土宮こずね』に関するものだから消えたのだろう。
「……姫宮リリアに土宮こずねか……」
消えてしまった二人。
一人はアタシが殺した者。
一人はアタシに関わったから消された者。
シアンはきっと土宮がアタシに関わらなかったら消さなかっただろうから。
二人ともアタシに関わったから消えたのだ。
大鎌を持つ土宮を死神のようだと感じたが、死神はアタシの方かもしれない。
アタシは基本的に他人なんてどうでもいい。
――けれど、なんとなく、二人のことは一生忘れない気がした。