キャラと関わらずに済む方法は? 2

□27話
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***


ブルーベルに引っ張られて知らない部屋に連れてこられた。
その部屋にいる人達がこれまた……色々濃い。


男なんだか女なんだか分からない、美人な人。
真っ赤な髪の髭面のオッサン。
額から頬まで斜めに傷がついている、ぬいぐるみ持った人。
鬼の面をつけて黒いフードを被っている人。


濃い。なにもかも、全てが濃すぎる。
この人達絶対モブじゃない。敵主要キャラだ。
こんなに濃いモブがこの世にいてたまるかって話だよ。


「ブルーベル……あまり外を歩き回ってはいけませんよ」

「ニュニュー!そんなのブルーベルの勝手でしょー!」

「ダメなものはダメです」


性別不明な美人がブルーベルに説教してる。
まあどんな理由があるにしろ、その格好はダメだろ。
もしロリコンにでも見つかったら、速攻お持ち帰りされるぞ。


「そちらは……咲夜様ですか?」

「えーあー……お前らの知ってる咲夜ではないよ。
アタシはお前らから見て、10年前の咲夜だ。
つまり、アタシはお前らのことを知らない。お前らがアタシを知っててもね」

「ハハン、なるほど……確かに貴女は咲夜様のようだ」


どういう基準だそれは。喋り方か?喋り方なのか?
まあ初対面の相手を "お前"って呼ぶ奴はあまりいないだろうね。
アタシはモブ以外に敬語使うことはねーよ。


「私は桔梗。よろしくおねがいしますね」

「桔梗……って日本人じゃないよね?」

「さあ……どうでしょう?」


そんなナリした日本人はいねーっつの。
桔梗…ききょう……日本人っぽい名前だ。
そもそも漢字を使ってる時点で日本人っぽい。


「そちらで怠けている赤髪の男がザクロ」

「怠けてるって……寝てるだけだぜ?」

「それを怠けてるっつーんだよオッサン」

「オッ…!?」


アタシがオッサンと呼ぶと、ザクロとかいう人は目を見開いた。
流石に癇に障ったかな……でもオッサンなのは事実だ。

そうアタシが告げると、ザクロはため息をついて目を閉じた。


「そこの面をつけた男がトリカブト。
そこにいる、ぬいぐるみを抱えた男が……」


桔梗が名を告げる前に、ぬいぐるみを持ったその変な人がアタシと桔梗の間に笑いながら割り込んできた。
ぬいぐるみを片手で抱え、もう片方の手には何かが握られている。


「デイジー……よろしく」


そう言って花のようなものをアタシに差し出す。
花……といっても、真っ黒になって枯れているが。

枯れた花を渡すなんて……変わった人だ。
つーかよろしくって言うときに普通枯れた花なんて渡すか?


「デイジーか……ま、よろしく」


とりあえず作り笑顔を浮かべてその花を受けとる。
手ごと払いのけてキレられても困るしね。



コイツら、恐らくは白蘭の幹部ってところだろう。けどこんな子供まで……、

……いや、戦う赤ん坊だっているんだ、子供がいてもおかしくない。この子が戦力になるかどうかは分からないけど。


アタシはブルーベルのこと結構好きだなぁ……見た目は。
性格はまだ知らないけど、普通でないことは確かだね。
普通の子がマフィアなんてやってるはずないし、さ。
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