キャラと関わらずに済む方法は? 2

□27話
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「ところでブルーベル。なんでここに連れてきたの?」

「んー……なんとなく!」

「……そう」


ここにいる人達を紹介するために連れてきたということにしとこう。
なんの目的もなく連れてこられたとは思いたくない。


アタシが苦笑いすると、ブルーベルはアタシに抱きついてきた。
ブルーベル背丈は丁度アタシの肩まである。
この子が小さいのもあるだろうが、アタシもそれなりに背が高いからね…。

そっと水色の髪を撫でると、目を細めて胸元に擦り寄ってくる。
まるで猫のようだ。やっぱり見た目は可愛い。


「少し……変わりましたね」

「変わったって……10年後のアタシと比べるとってこと?」


顔を上げて桔梗の顔を見ると、少し驚いたような表情をしてる。
10年後の貴女はもっと冷酷でしたから。だ、そうだ。
まあ10年もの時が経てば、色々変わるものだろう。


「ブルーベルが抱きついても、鬱陶しそうな顔しかしていませんでした」

「ふーん……」


正直、今でも抱きついてこられるのは鬱陶しいと感じている。
白蘭もブルーベルも無駄に力が強いから苦しいし、人に必要以上に体に触れられると気持ち悪いのだ。


それでも可愛いものは好きだ、多少は我慢できるほどには。
10年後のアタシは可愛いものを好きとは思わないのだろうか。
それとも、それ以上に抱きつかれるのを嫌悪しているのか…。


「ところで……お前らって白蘭の部下なわけ?」

「えぇ、そうですね」

「強いの?」

「ハハン、もちろんですよ」


強いのか……でも結局は沢田達に殺られるんだろうけどね。悪役はヒーロー……主人公に倒されるもんだ。
でもアタシ的には桔梗達に頑張ってもらって沢田達倒してほしい。アイツら嫌いだし……あ、クロームは別ね。


「あと……、《ドゴォッ!》


ここどこ?と続ける前に、その言葉は轟音で掻き消された。
ここにいる全員の視線が音の発生源に向けられる。


黒い煙の中に見えたのは………白い影だった。
こちらに歩み寄ってくるにつれて、その正体が明らかになっていく。


「見つけたよ、咲夜ちゃん…」

「びゃく、らん……」


煙の中から出てきたのは、目に涙を溜めて笑っている白蘭。
呆気に取られているアタシに近寄ってくると、抱きしめられた。その体は小刻みに震えていて、アタシを抱きしめる腕にはあまり力が入っていない。


「咲夜ちゃん……勝手にいなくなっちゃ、ダメだよ?」

「………んなのアタシの勝手だろ」

「ダメ……僕から離れないでよ。絶対にね」

「………」


まあ……これは病んでるっていうより、依存だな。
出会ってたった一日しか経ってないのに依存されるとは………病み化抑える力全く効いてねーじゃん。


「白蘭様、どうかなされましたか…?」

「んー?なんでもないよ、桔梗」


首を捻って後ろにいる桔梗を見ると、心配そうな表情で白蘭を見つめている。
デイジーとザクロ、ブルーベルも同じような顔だ。


「さあ部屋に戻ろうか」

「ああ、っと」


急に視線が高くなったと思ったら、白蘭に横抱きされていた。
少し恥ずかしいが、今の白蘭に逆らうのは懸命ではないだろう。黙ってされるがままになっておくか…。


「じゃーねー、咲夜ーっ!」


手を降っているブルーベルに手を振り返し、白蘭と共に部屋を出た。
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