キャラと関わらずに済む方法は? 2
□28話
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それからすぐにミーティングは終わり、白蘭の部屋に連れてこられた。
結局あの部屋から出れても、白蘭の膝の上に座ってるのは変わらないけどね。
なでなでとアタシの頭を撫でてくる白蘭の手をはたき落としてはまた頭に乗せられ、はたき落としてはまた乗せられる。先程からその繰り返しで、だんだんと自分の手が痛くなってきた。
「なんで頭撫でるわけ…?」
「そこに咲夜ちゃんの頭があるからだよ」
「お前は登山家か」
そこに山があるから登る、みたいに言うなよ。
はたき落とすのを諦めて、大人しく撫でられることにした。
……初めてアタシの頭撫でたのは、シアンだったな……。
両親に撫でられたことはなかった。いや、もしかしたら撫でられたことがあったかもしれないが、アタシの記憶にはない。
まあ別に撫でてほしかったわけではないが……うん、なんか不思議な感じだ。
「やっぱユニ怒ってたなー…」
「ユニって……あの美少女のこと?」
「咲夜ちゃんの方が可愛いよ」
「心無いお世辞を言われると逆に傷つくから。それより怒ってたって……アタシにはなんの感情も持たずに座っていただけに見えたけど?」
「感情も持たずにか……まああながち間違ってはないかな」
間違ってない……ということは、あの子には感情がないのか。
あの子が笑ってる顔、見てみたかったけど……ま、仕方ないか。
「失礼します」
控えめなノックが扉の方から鳴らされた。
振り返ると、レオナルドがバインダーを持って立っていた。
この体勢をこれ以上人に見られたくないから、ソッと白蘭の隣に座る。白蘭は不満そうに頬を膨らませていたが、アタシは知らない。
「第11ヴィオラ隊よりたった今、緊急連絡が入りました。
B級以上の部下4名を何者かに暗殺されたとのことです。
ありえない状況での殺害とのことで、現在調査を急いでます」
暗殺て……いきなりのヘビーな報告だな。
「そろそろモグラが動き出す頃合いか」
「モグラ?」
「聞いたことない?ボンゴレの特殊暗殺部隊ヴァリアー」
暗殺の次は暗殺部隊の話……ってかヴァリアーかよ。
なんで暗殺された話からヴァリアーが………まさかアイツらが白蘭の部下殺ったのか…?何やってんだアイツら。
「あのヴァリアー!?」
「うん、まちがいないでしょ。まあでもよかったかな?」
「は?」
「迷ってたんだよね。日本のボンゴレリング回収の増援に第8グリチネ隊と第11ヴィオラ隊のどっちを送ろうかさ」
部下が殺られたのに "よかった" か……そういう奴なんだね。
まさに白蘭は "悪役" ってことか。悪役っぽいセリフが似合ってるよ。
レオナルドの意見を考慮し、白蘭が増援に選んだのは第8グリチネ隊。
第8グリチネ隊に日本へ向かうように伝える命を受けたレオナルドは足早に部屋を去っていった。
ついでに、あの変な髪型の男のフルネームは "グロ・キシニア"といい、第8部隊の隊長らしい。スゴくどうでもいいことだが。
「これで二人っきりだね」
「ここには二人しかいないし、そうなるね」
変なフラグ立てないように気をつけないと……。押し倒されて犯されるとかマジ勘弁。それなら監禁される方がマシだ。
今の白蘭に限ってそれは恐らくないだろうけど。
なんつーか……白蘭って思考と口調がどこか子供っぽいんだよね。そんな白蘭に犯されるということはないだろう。
白蘭はヤンデレじゃなくて依存だからな……めんどくさい。
今はこの程度ですんでるけど、悪化したら大変なことになる。
前に読んだ小説には、少しでも依存対象が目に見えないところにいると、依存した人間は発狂してたりしてた。アタシは白蘭が発狂しようがどうでもいいけど、怒り狂って殺されるのは避けないと。