キャラと関わらずに済む方法は? 2
□26話
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「やあ、初めまして」
「……誰」
今アタシはなぜか、知らない人の膝の上に座っていた。
ええと……なんでこうなったんだっけ……。
確かその辺を適当に散歩してたら急に視界が煙につつまれて……目を開けると目の前にこの人がいた。
……うん、さっぱり分からない。
ただひとつわかるのは……やっとリング争奪戦が終わったのに、また厄介事に巻き込まれたということだけだ。
「僕の名前は白蘭。よろしくね、咲夜ちゃん♪」
「……とりあえず、状況説明しろや」
なんなんだ、この全身真っ白な男は。
髪も白いし服も白いし目も……目は薄紫だな。
白、白、白。目眩がしてきた。
「ここはね、君がいたところでいう……10年後の世界だよ」
「10年後……ってことは10年バズーカか」
それならあの煙のことも納得がいく。
ここが10年後か……始めて来た……普通は来ることなんてないけど。
でもなんでアタシはこの人の膝の上にいるんだ?
まさか………アタシコイツと付き合ってる…とか?
…ないないない。絶対ないありえない。
恋愛感情を信じられないアタシが人間と付き合ってるとかありえない。
この状況は…………いや、他に状況が思い浮かばない。
「アタシなんで白蘭の膝の上に座ってんの?」
「僕が座らせたからだよ」
「いやそういうことじゃなくて……はぁ」
コイツと会話しても、恐らく会話そのものが成立しないだろう。
めんどくさい奴をわざわざ相手にすることはない。
でもコイツとアタシとの関係は知りたい……恋人同士でないことを願おう。
………そういえば、もう五分経ってない?
「あれ…?五分経った…よね?」
「うん、そーだね」
「じゃあなんで過去に戻らないんだ……」
「どうしてだろうねー」
クッソ、他人事だと思いやがって……他人だけど。
他人……だよね?……他人だといいな……。
まあとりあえず、もう一度状況を確認しよう。
今アタシと白蘭が座っているのはソファ。
目の前にはマシュマロが置いてあるテーブル。
外は……青空が見えるな……どうやら高層ビルのようだ。
……さっぱり分からん。何がどうなってる。
「……ようは、アタシは10年前に戻れないってこと?」
「うん、そうなるね」
「ははは……ふざけんな」
10年バズーカってことはあのクソガキか……帰ったらしばく。
いや帰れないんだけどね。だから困ってんだけどね。
考えられる可能性は…10年バズーカの故障?
原因は故障したせいで帰れないというのが妥当なとこだろう。
さて、帰れないとして……まずは家に帰るか。
金は盗まれてさえいなければ腐るほどある。
10年後の世界だろうとなんだろうと、生きていける。
「さて、と……アタシは家に帰るから、降ろして」
「家?咲夜ちゃんはここに住んでるんだよ?」
「……そうッスか」
ここに住んでるって……ここマンションなの?
なんで自分の家があるのにマンションに住むんだよ未来のアタシ。
つーかそもそもここどこだ。
「……ここどこ?」
「ここはねー……イタリアだよ♪」
そう言った白蘭の顔はスゴく嬉しそうな、満面の笑みだった。