キャラと関わらずに済む方法は? 2

□27話
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目が覚めて一番に目に入ったのは白蘭の顔。最悪の寝起きだ。
おかしい……なんで白蘭と一緒のベッドに入ってるんだ?

ここはアタシが与えられた部屋だ。床に積み重ねられている本がその証拠。
アタシは昨日、確かに一人で寝た。なのになぜ。


「ん〜…?咲夜ちゃん…?」

「よう、起きたか。ならとっとと部屋から出てけ」

「やだなぁ……ここの所有者は僕なんだよ?」


……確かに、この建物の主は白蘭だ。
白蘭がいつどの部屋に居ようが、咎めることはできない。
だがアタシにだってプライバシーというものがある。
寝ている間に部屋に入られるのは、プライバシーの侵害だ。


「とりあえず起きてベッドから出て」

「えー……もうちょっと…」

「ちっ、ならアタシが出てく」


もう一度舌打ちをし、ベッドから出る。
クローゼットから服を適当に取り出し、脱衣所に向かった。
流石に白蘭がいるところで着替えるのは無理。


「うわ……ブカブカだ」


適当に持ってきた服を広げると、見事にブカブカ。
まあ10年後のアタシの服なわけだし、当然といえば当然だな。
けど着られないことはないし……我慢するか。



ブカブカのズボンはベルトを締め、裾を折り曲げることでなんとか穿けた。
パーカーも袖を折り曲げることでどうにかなった。
やはりサイズがデカイと違和感あるが……仕方ないか。


「白蘭起きたー?」


脱衣所から顔を出して白蘭に問いかけるが、返事はない。
そっとベッドに近づいて覗き込むと………コイツ寝てやがる。
ムカつくわー……もういいや、コイツのことは放っとこう。



部屋のカードキーと本を持って部屋を出る。
アイツと同じ部屋に居るのも不快だし、探検でもしてみよう。
ここの階数さえ覚えていれば自力で帰ってこれそうだし。


長い通路を歩きながら周りを見渡す。
ここ無駄に広いな……迷子になったら……、いざとなれば人に聞けばいいか。
いや……もしかしたらアタシのこと知らない人もいるかも……。
現にレオナルドはアタシのこと知らなかったし。


もし、侵入者に間違えられたら………。


「や、やっぱ止めとこうかな……」


無謀なことはしたくないし、戻ろう。
戻ったら白蘭にアタシのこと説明してもらわないと…。


歩みを止めて振り向くと、向こうに誰かが立っていた。
なんだろあの子……なんか、小さい。
マフィアの本拠地にいるには不釣り合いな小ささだ。


ジッと見つめていると、その子と不意に目があった。
その瞬間、その子はアタシに向かって突っ込んできた。

突っ込んで………え?


「どーんっ!!」

「ぐふっ!?」


その子の頭突きがアタシの腹に激突した。
何も食べてなくてよかった……食べてたらここにぶちまけてたよ。


「ニュニュ?小さくなってるー!」

「は、あ?い、いから……降りろ…」

「変なのー!」


なんで白蘭もコイツも人の話聞かないんだよ!?
つーかこの子、髪と目の色が水色なんだけど。
明らかにモブではないよね?まさか…敵主要キャラ?


「咲夜だよね?」

「ああ……10年前のだけどね」

「あ、そっか!だから小っさくなってるんだ」


さっきから小さい小さい言ってるけど、お前の方が小さいから!
なんなんだこの女の子……幼女?少女?だいたい9〜12才くらいに見える。
しかも格好が……裸に白いシャツってなにそれ。露出狂?


「10年前の咲夜はブルーベルのこと知ってる?」

「ブルーベルって……それ、お前の名前?」

「うん!ブルーベルはブルーベルってゆーんだよ!」


だからなんだってんだ。お前の名前なんて興味ねえよ。
つーかいい加減アタシの上から降りろ。小さくても重いんだぞ。


「ね、ついてきて!」

「なんでアタシが「いいから!」ちょ、は?」


やっとブルーベルがアタシの上から降りてくれたかと思うと、アタシの左手首を掴んで引っ張っていく。力強くて振り払えない。
アタシよりも小さなガキに力で負けるとは………。
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