キャラと関わらずに済む方法は? 2
□31話
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この世界で暮らすのにも大分慣れてきた。
白蘭は鬱陶しいけどそこまで気にならなくなってきたし、桔梗達ともわりと仲良くしている気がするし。
やっぱり10年後の世界に帰るまで、ここで生活するのだと思っていた。
……思っていたんだけどなぁ。
***
「目覚めの時…運命の時…約束の時」
「ぼばっ!トリカブトが時を…トリカブトが時を告げた! !ザクロ! !桔梗! !時だよ、時間だ! !虐殺の時間だ! !」
「……ってかトリカブトって喋れたのか」
いつも通り桔梗達のところでのんびりしていると、急にトリカブトが喋った。トリカブトが喋ったとこ初めて見たよ。
それになぜか興奮しているデイジー。語尾に感嘆符(!のこと)付けすぎだ。
「どうしよう…僕チン興奮してきた…今日殺しちゃうのは1万人かな…10万人かな…」
「ハハンッ、落ち着きましょうデイジー、今日のつとめは大量虐殺ではありません。我々の戦う相手はごく少人数、白蘭様からは一種のセレモニーとも聞いています」
イスに座ってザクロとカードゲームをしていた桔梗が立ち上がり、デイジーへと近づきながら話す、ってか殺しには行くのね。
ごく少人数……沢田達の顔が頭に浮かぶのは気のせいだろうか。
今さらだけど、白蘭達って悪役サイドだからね。ということは少人数ってのはやっぱり沢田達のことなのかな……どうでもいいけど。
「では白蘭様の所へ参りましょう。この日をとても楽しみにしておられた、」
「やったー! !ついちゃったよ! !」
桔梗の言葉を遮って、ブルーベルが興奮ぎみに叫んだ。
「ねぇ見て見て! !すっごいついたの! !きん肉」
水の中に浮いているブルーベルが裸で筋肉を自慢しようとしているが、その細っこい体には筋肉など殆どついていなかった。
ブルーベルはいつになったら羞恥心というものを覚えるんだろうか……。
「そりゃあ筋肉じゃねーぜ、ペチャパイってんだ」
「なによザクロ! !きん肉だもん! !きんトレしたもん! !」
「そのメンチの切り方じゃまぶたの裏しか見えてねーなぁ、電波ちゃん」
ザクロの言うとおり、ザクロを睨みつけるブルーベルはほぼ白目だ。あれではまぶたの裏以外、何も見えていないだろう。
そんなザクロの発言に怒りを覚えたブルーベルが水槽から出てきた。
「誰が電波だこのヤロー! !今度言ったら頭蓋骨むくぞ! !」
なんか可愛い顔して強烈なこと言ってるな。
「桔梗もなんとか言ってよ! !ブルーベルははげしくブロークンハートよ! !」
「ハハンッ、ザクロはブルーベルのキュートさに焼きもちをやいてちょっかい出してるんですよ」
「そらぁねーな」
「ブルーベルは女の子なんですからまず足を閉じましょうか」
水槽の縁に座っていたブルーベルはむくれながらも足を閉じる。
さすがに全く羞恥心がないというわけではなさそうだ。
「ニュニュウ〜〜ザクロのすっとこどっこい。絶対尊敬させてやる」
ザクロがブルーベルのこと尊敬する日は一生こなさそうだな。
ブルーベル達のコント(?)を紅茶を飲みながらゆったりと観戦していると、めんどくさいやつの声が扉の方から聞こえてきた。そこには案の定、めんどくさいやつ……白蘭が、袋に入ったマシュマロを片手に立っていた。
「ハハハッ、相変わらず楽しそーだなー君達は」
「やっ♪」っと、マシュマロを食べながら言う白蘭にイラッとくる。
にしてもなんで白蘭がこんなとこに……。
「ハハンッ、まさかおいでになるとは、白蘭様」
「当たり前だろ?今回は君達と僕は同じプレイヤーなんだよ。ほら、おそろいの戦闘服♪」
おそろいとか言ってるが、アタシには所々に装飾が施されたただの膝まである黒いコートにしかみえない。
おそろいというだけあって、ブルーベルもこの服はちゃんと着ていた。相変わらずコートの下には何も着ていないけど、裸よりはマシだろう。
「かっくいー、びゃくらん」
「呼びすてるな!バーロー!」
白蘭のことを呼び捨てにしたブルーベルにザクロが注意してる。
アタシなんて初対面で年上なのにも関わらず、普通に呼び捨てたけどな。
「我ら真6弔花、白蘭様と共に戦地に赴くは身に余る光栄。ですが白蘭様が手を汚される必要はないでしょう。現状で一人欠けてはいますが、我々人類最強の選ばれし戦士が史上最高のマーレリングと空前絶後の匣兵器をもち、あなたという悪魔に仕えているのですから」
人類最強……桔梗、今自分のこと人類最強の選ばれし戦士って言ったよ。
よくもまあそんなこと恥ずかしげもなく言えるねぇ……普通の人がそれ聞いたら、バカにするか精神外科、もしくは脳外科紹介するだろうね。
つーかアタシ今完全に空気だな。
リング争奪戦の時も空気になること多かったし……アタシ、いらなくね?