キャラと関わらずに済む方法は? 2
□32話
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結末というのは、妙にあっさりとしていて。
ボンゴレチームが負けたときは、さすがに驚いた。
沢田に、主人公が負けていいのかって問いたくなったものだ。
ボンゴレは個人的に勝ち、チームとして負けた。
沢田はトリカブトに勝ち、山本は幻術で姿を変えていた幻騎士とかいう奴に勝った。桔梗と獄寺は殆ど戦ってはいなかったが。
でも……最終的に、入江の炎は桔梗によって消された。
デイジーの炎も一度は消されたが……その炎は復活した。
なんでも、デイジーは不死身らしい。死ねないのが悩みだと。
隣を見ると、白蘭とブルーベルが笑っている。
後ろに立っているザクロの口角も上がっていて、喜んでいることが分かる。
アタシは複雑な気分だ。だって沢田が……主人公が負けてしまったんだから。
「さ、正チャン達のところに行こうか」
白蘭が立ち上がり、出口へと向かう。
ブルーベルとザクロもそれに続くが、アタシはなんとなく動かなかった。
「どうしたの?咲夜ちゃん」
「んー……なんとなく、動きたくないんだよね」
ショックを受けているのか、単純にめんどくさいだけなのか……自分のことだというのに、自分でも分からない。ただ、動きたくなかった。
「ダーメ。行くよ」
グッと腕を引かれ、渋々アタシも立ち上がった。
本当に、どうして動きたくないと思ったんだろ……。
***
倒れている入江を囲んで、沢田達は何か話していた。
白蘭はイラッとするくらいの清々しい笑顔で沢田達の元へ近づいていく。
「難しくてよくわからない所もあったけど……それだけはしっかりわかった。なのに…負けちゃった…。そんな大きな意味や想いがあるなんて知らずに…」
「そ、君達の負け♪」
全員の視線が一瞬にして白蘭へと集まる。
「僕の事こんなによくわかっているのに、残念だったね、正チャン」
「白蘭! !」
「結局どの世界でも僕には勝てないのさ。約束は守ってもらうよ。ボンゴレリングは全ていただいて…君達はどうしよーかなー」
どうしようかなんて、わざとらしいことを言って……。
どうせ白蘭のことだ。皆殺しにでもするつもりなのだろう。
そんなことをされたら全てが終わってしまうけど。沢田達も、白蘭達も。
「待ってください!約束なら僕らにもあったはずだ…」
「?」
入江の発言に首をかしげる白蘭。
本当に覚えがないのか、惚けているだけなのか……。
「覚えていますよね……大学時代、僕とあなたがやった最後のチョイスで僕が勝った……だが支払うものがなくなったあなたはこう言った……
『次にチョイスで遊ぶ時は、ハンデとして正チャンの好きな条件を何でものんであげるよ』
…それを執行します。僕は、チョイスの再選を希望する!」
沢田達にとって、その願いは最後の希望。
そんな希望を、白蘭はあっさりと打ち砕いた。
「うーん……悪いけど、そんな話覚えてないなあ」
実は覚えているのか、それとも本当に忘れたのか……もしくは入江が言ったことが嘘なのか。白蘭の顔を見ても、アタシには分からなかった。ただ一つ分かるのは、もしその約束を覚えていたとしても、白蘭は惚けていただろうということだけだ。
「!うそだ! !あなたが勝負事を忘れるなんて! !」
「ムシがよすぎるよ」
「でも約束は約束だ!あなたはチョイスには誠実だったはずだ……」
「だからそんな話はなかったって。ない話は受けられないよ」
まあ、所詮は口約束ということだ。その約束のことを知っているのはお互いのみ。どちらか一方が知らないと言えば、それはなかったこととされる。ちゃんと紙にでも書いてサインしてもらっとけばよかったのにね……口約束なんかを本気にした入江がバカだったんだよ。
「ミルフィオーレのボスとして、正式にお断り♪」
「くっ…」
悔しそうに顔を歪める入江を、白蘭は嘲笑う。
そんな時だ。先程まで、確かにこの場に居なかった人の声がしたのは。
「私は反対です、白蘭」
その声と共に、リボーンの首に下げられたおしゃぶりが光を放った。