キャラと関わらずに済む方法は? 2
□32話
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「…………」
なんか知らないけど、皆勝手に戦いを始めた。
先に仕掛けたのは桔梗達。目的は勿論ユニを奪うこと。
それを止めたのはどこからか現れたスクアーロと雲雀だった。
こんなところにいたら戦いに巻き込まれてしまう。
かと言って、逃げることはできない。ここ無人島だし。
それ以前にここから離れるなんて白蘭が許さないだろうなー。
「じゃあこうしよう、ユニちゃん」
桔梗達を制止した白蘭がユニに取引を持ちかけた。
ユニがミルフィオーレへ帰ってくるならボンゴレリングを返すというものだ。
今白蘭が欲しているのは魂が戻ったユニ。リングは返した後にまたボンゴレから奪うようだ。このことを知ってるのは白蘭本人と心読めるアタシだけ。
と思ってた訳だけど、ユニもそのことはわかっていたらしい。
わかっているからこそ、白蘭の元へと帰るわけにはいかないと。
まあそれで帰るやつがいたらソイツはただのバカだよね。
おしゃぶりはアルコバレーノのもので、ボンゴレリングはボンゴレのもの。
それなのに白蘭は勝手にチョイスを開催して73を賞品にした。
そのことをユニは大空のアルコバレーノとして許さない。
よって、チョイスは無効。 それが魂を取り戻したユニの決断だった。
………ま、そんな簡単に諦める白蘭じゃないけど。
「ボスのユニちゃんが裏切ったとして…残されたブラックスペルがどうなってもいいのかい? まあ奴らはユニにちゃんにゾッコンみたいだから、煮られようが焼かれようが大喜びかもしれないけどね」
つまりはユニの仲間を人質にして脅してるわけだ。
だがユニはその脅しに屈しなかった。皆ならわかってくれると。
沢田はそんなユニの覚悟を見て、ユニを守ると決めたようだ。
ユニを守るという沢田の決定に全員が従う。
……で、白蘭がユニを連れ戻すために再度攻撃を仕掛ける、と。
うーわー……爆風がすごい。気を抜いたら吹き飛ばされそう。
ていうか、気なんて抜いたら速攻で死ぬからね。生命の危機だよ。
白蘭はユニのことで頭が一杯みたいだし……アタシはどうすればいいんだ。
≪ガンッ≫
あ、地面に瓦礫が叩きつけられて粉々になった。
アタシもこんな風に粉々になって死ぬのかな……ハハ。
……いや、嫌だからね。どうせ死ぬなら痛み無く楽に死にたいよ。
(けど、どうすれば……)
やっぱりビルの陰にでも隠れるのが妥当か。
なんて思っていた時期がアタシにもありました。そんなところに隠れてビルが壊されでもしたら……瓦礫に埋もれてDeadEndだよ。
誰か助けてー、なんて言っても助けてくれる人なんているわけ……、
「咲夜ちゃん……っ」
……いたよ。
「クローム……」
「……迎えに、来たよ。……帰ろう」
「………ん」
三叉槍を持つ右手とは逆の左手で腕を掴まれる。
クロームは先頭に立って土煙の中へ……ってちょっと待て。
「あの、そこ戦闘地……、」
「…向こうに基地があるから……」
「いやでも……ええー……」
クロームは土煙の中を迷うことなく突っ切っていく。
うわ、目に土煙が……ってなんでクロームは平気なんだよ。
とまあ、目を擦っているうちにいつのまにか土煙が晴れていた。
正確に言うと、土煙の中からアタシ達が出てきたようだが。
涙で霞む目の前にはボンゴレの基地。頭上にはなんか大きな物体。
「咲夜ちゃん! !」
「……沢田か」
「よかった……無事に連れてこれたんだね」
「うん……」
ってことは、クロームに指示したのは沢田か。
つーか女に敵地に乗り込むなんて危険な役押し付けんなよ。
「さあ、早く基地の中へ!」
「あ、ああ」
言われなくてもこんな戦闘の真っ只中にいる気はない。
沢田とクロームに背を向け、基地の中に足を踏み入れた。
白蘭が後ろでアタシの名前を呼んでいたけど……知らないフリ。
中には京子と三浦と……ま、その他大勢。
皆アタシの姿を見るなり駆け寄ってきて、その中でなぜか抱きついてきたのは京子とランボだった。
「咲夜ちゃんっ……無事でよかった…!」
「咲夜〜! !」
どうしよう……正直すごく鬱陶しい。
でも突き飛ばしたりして恨まれたら……うん、やめとこう。
「すぐに転送するから、早くどこかに掴まって」
ビアンキが言う“転送”とはなんのことだろうか。
よく分からなかったが、とりあえず近くにあった手すりに掴まる。
刹那、視界が光に包まれた。
(転送って……アタシ達をってことだったのか……)
あらためて『漫画ってなんでもありだな』と思った瞬間だった。