キャラと関わらずに済む方法は? 2

□33話
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「っ、ぐ……、! ?」


目を開けるとユニの顔が……え、なんで?


「ん……」


ユニは少し体を震わせると、ゆっくりと目を開けた。
そしてアタシの顔を確認すると、一気に起き上がって後ずさる。


「え、え?」

「あー……おはよう」


なんでおはようなのか自分でも分からない。
というか、この状況で何を言えばいいか自体が分からなかった。
ただ一つ言えるのは、ユニは近くで見るともっと可愛い。
あの感情の無い目とは大違いだよ。こうやって見ると普通の美少女だ。


(つーかここどこだよ……)


床に手をついて立ち上がり、ボロボロの基地から出る。
その際周りを見渡したが、どうやら全員無傷とはいかないが、無事なようだ。
外の林にいたのは、無様に木にぶら下がった沢田。
その隣には獄寺とバジルが……あ、沢田が木から落下した。


「10代目! ! 大丈夫っスか! ?」

「う…そうだ! ! 基地ユニットの中のみんなは! ?」


……答えなければならないのだろうか。


「あー……沢田、みんな無事だから。落ち着け」


傷だらけの沢田を見下ろすと、ポカンとした顔で見つめてくる。
イラッときて睨みつけ……るのは獄寺が怖いから止めておこう。
沢田はフラフラと立ち上がると……なんと、抱きついてきた。


「咲夜ちゃんっ……!」


なんでこいつら全力で抱きついてくるんだろ……。
あれか、抱き締めて圧死させようってか。そうなのか。

突き飛ばしたい衝動を抑え、沢田に抱きつかれること10秒。
この10秒がアタシにはなぜか1時間よりも長く感じた。
人に抱きつかれたからというのもあるが、何より睨んでくる獄寺が怖い。オレの10代目に触んじゃねーよってか? 怖くて心読む気にもならないよ。


「よしいいぞ! ! すぐに転送システムを破壊するんだ! ! そうすれば敵は追ってこれないはずだ! !」


基地の中から聞こえてきた入江の声とともに沢田が離れる。
その沢田の顔は真っ赤。照れるぐらいなら最初から抱きつくな。


「でしたら10代目! ! オレにまかせてください」

「獄寺君!」

「炎が吸収されるんなら、新兵器の実弾を使います! !」


マジか。獄寺が匣に炎纏ったリング突っ込んだら猫とゴツいガントレットみたいなのが出てきたよ。猫は獄寺の肩に。ガントレットは勿論腕に。
つーかあの猫可愛いな…………触らせてくれないだろうか。


「ターゲットロック! ! 果てろ!『赤炎の弾《フレイムミサイル》』! !」


ガントレットもどきからミサイルっぽいものが発射された。
その弾は煙を上げながら上昇し、転送システムとやらに命中。
1/4ほど破壊された機械は山の方へと緩やかに落下していく。
沢田に褒められてマグレだと謙遜する獄寺だが、あれはマグレじゃないだろ。





チョイスが行われていたのは誰にも発見されていない無人島だった。
そう言うユニに皆驚いているが、アタシは……別に、なんとも。
だって知ってるし。白蘭に無理矢理連れてかれたんだから。
つーかそんなに驚くことか? 見つかってない無人島があってもおかしくないと思うけど。白蘭の力があればどうとでも出来るわけだしさ。


(……お)


落下していた転送システムが光と共に消えた。
ディーノさんいわく、白蘭の元へ戻ってしまったのだと。
まあ破壊したっていっても、たったの1/4程度だったしね。


「マズイな。またすぐに敵を乗せて戻って来るかもしんねーぞ」

「そんなっ! すぐ来ちゃうのー! ?」

「あまり時間はねえ。どーするか決めろ、ツナ」

「そんなこと言われても! !」


迎え撃つ以外、どうしようもないっしょ。
まあ沢田が白蘭と戦っても多分瞬殺されるだろーねー。
殺られたら殺られたでかなり困るけど。今後の展開的にさ。


そんなネガティブ思考になっていると、地面から人が生えた。
正確に言うと、灯籠があった場所から出てきたのだが。なんでだろ……灯籠が透けて見えるんだけど。リーゼントの人が這い上がってきたよ。
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