キャラと関わらずに済む方法は? 2

□35話
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「真6弔花は行ってしまったよう。これでしばらくは大丈夫でしょう」


川平という男がのれんをくぐって室内に入る。
沢田やユニ達はほっと息をついた。
中にいたからわからないが……外では何があったのだろうか。


この川平という男のことを、アタシは知っていた。
まあ、さっき知っているということに気がついたんだけど。

川平は、10年後のイーピンがバイトしてるラーメン店のお得意さんだ。
漫画にも少しだけど名前だけ出てたからなぁ…。
名前だけだったから気づくのに時間がかかってしまった。


「しかし、白蘭ってのもひどい男だ。こんないたいけな娘を、殺人集団をつかって追い回すとはねえ」


ひどい男ってとこには川平に同感だ。
もっと詳しく言うと、白蘭はめんどくさい男だと思う。
二度と関わりたくないような、向こうの方が安全なような…。
色々と複雑だ。これからほんとにどうしよう。


……そういえば。


(聞こえないなぁ…)


川平の心の声が。
アタシは最初、川平の心の声を聞こうとした。
怪しかったから思考を読めば正体がわかるかと思って。

けど、何も聞こえなかった。なぜか読むことができなかった。
もしかしたら、その時だけ何も考えてなかったのかもしれない。
そう思ってもう一度聞こうとしたけど……結果は同じ。
どうしても、川平の心の声だけ聞くことができないのだ。


(なぜだ? 仮にもシアン…神に貰った力なのに…)


まさか川平も神とか……。


(いや、ないない。それはないだろ)


神がそんなにホイホイいてたまるか。
というか、神様なんて特別なものは普通一人しかいないはず。
まあ現時点で二人いるって知ってるんだけど…。


「ああ、そーだ…並中へ向かう学ランの子を見たなあ。お仲間?」

「! ヒバリさんのことだ!! ディーノさんと並中に落ちた真6弔花を倒しに行ったんです!!」

「大丈夫かねえ? 彼らの力をあなどってないといいんだが」


ぽつりと呟く川平。
再度心を読むことに専念してみるも、失敗に終わる。

ああクソ、なんか悔しい。散々走ったせいでイライラしてるし。
沢田達に関わるとろくなことがないよなぁ……ほんと。
現代に帰ったら、徹底的に避け続けようか。


「雲雀さん、大丈夫かな…」

「あのヤローなら心配ないっスよ、10代目」

「…うん、そうだよね」


皆、思い思いに話し合っている。
はりつめていた空気はいくらか和らいでいた。
壁に背を預けて、それほど広くはない室内を見渡す。

元気だなぁ……コイツら。
アタシは足痛いし体力はほとんど残ってないのに。
京子や三浦までもがユニと普通に会話してる。

なんだろう……アタシの体力のなさが異常なのかな…。
それともコイツらのタフさが異常なのか……まあどっちもか。
ゆっくり休みたいが、寝るわけにもいかない。
もうさ、何でもいいから、早く全部終わってくれないかなぁ…。
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