キャラと関わらずに済む方法は? 2

□39話
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「じゃあまたね〜!」


「んー」



ぶんぶんと手を振る優花に軽く手を振り返す。


未来から帰ってきて数日後。
いつもどおり、授業を終えて帰宅していた。



(さて、と)



橋の上で足を止める。
手にはボンゴレリングと、黒い匣が握られていた。


この二つは、先日学校で沢田に渡されたものだ。
ボンゴレリングは、森で地面に投げ捨てたはずなのに。

沢田に聞いたら『拾ったんだ』と言われた。
余計なことしてくれやがって……。


沢田いわく、この黒い匣は、アタシが持っていなければならないそうだ。


これはアタシだけの武器。
アタシ以外の人間が持っていてはいけないものだと。

疑問に思いながらも、沢田の手からリングと匣を受け取った。


あとで捨てるために。


けど、捨てても捨ててもいつのまにか手元に戻ってくる。

庭に埋めても無駄だった。
金槌で砕いてゴミ箱に捨てても無駄だった。
焼却炉に投げ入れても無駄だった。


このリングと匣、怖すぎる。

実は呪いのアイテムだとか言うんじゃないだろうな。



「頼むぞ……戻ってくんなよ……」



そして今度は、川に投げ捨てようとしているところだ。
砕いても無駄なのだから、沈めたくらいでどうにかなるとは思えないけど……それでも、何もしないよりはマシだと思って。



「……あれ」



腕を振りかぶった時。
向こうから誰かが歩いてくるのが見えた。

なんとなく気になって、手を下ろす。



(うっわ……なんかボロボロ)



こちらに向かってくる……少年、かな。

なんていうか……全体的にボロボロだった。
着ている制服も、荷物も、顔も。全てが薄汚れている。


アタシじゃなくても関わりたくないと思うだろう。



(無視だ無視)



あんなのに関わってたまるか。
面倒なことに巻き込まれるのは目に見えている。


少年の髪は、真っ赤だった。
染めたのではない、鮮やかな赤い髪。

明らかにモブじゃない。
かなり弱そうだけど……絶対に主要人物だ。


関わってはいけない。
そう分かってはいたが……なぜか少年から目を逸らせなかった。



(なんだこれ、不気味すぎる……)



……少年とすれ違った時。



「…………!」



一瞬だが、目が合った。


目が合っただけ。
会釈したわけでも声をかけたわけでもない。


けど……猛烈に嫌な予感がした。



(ああ嫌だ……さっさと捨てて帰ろう)



リングと匣を川に投げ捨て、家路を急いだ。





――――翌日、リングと匣が枕元にあったのは……言うまでもないか。
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