キャラと関わらずに済む方法は? 2

□34話
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「伏せろ!!」


その声と共に、アジトが爆発した。
不動産屋に行くと決定した、その直後にだ。

地響きが鳴ったかと思えばいきなり爆発とか…。
スクアーロとザクロ、どんな激しい戦い繰り広げてんの、と。
地面に伏せた時についた土を払い落としながら、疑問に思った。


「うお゛ぉ゛い!!」

「スクアーロの声だ!」


沢田がつけているヘッドフォンから聞こえたスクアーロの声。
ヘッドフォン越しにはっきりと聞こえた。
声デカすぎる。だからアイツの声は耳障りなんだ。


「ハァ…ゼェ…思ったより…早く、ケリがつく…」


荒い呼吸と苦しげな声。
見てもいないのに、どちらが優勢なのかはっきりとわかった。


「ユニを連れて…アジトから少しでも、遠くへ…逃げろぉ…」


スクアーロはザクロに勝てない。
予想はしていたが、意外と決着がつくのが速かったな…。

先に出た敵キャラが後に出た敵キャラに勝てるはずないじゃん。
登場する敵ってのは前回に出た敵よりも必ず強いんだから。


「この…クソがぁ!!」


絞り出したかのような声と共にまたアジトが爆発する。
スクアーロは死んだのだろうか。
立場的にこれからも登場すると思ってたんだけどなぁ…。

悲しいとは思わない。
元々スクアーロが好きだったわけではないし…むしろ嫌いだ。
ただまあ……残念だとは思う。
こんなにあっさりやられるなんて、期待はずれもいいとこだよ。


……期待、していたのか? なぜ?


「……?」


何を期待していた?
まさかスクアーロがザクロに勝つとでも?

違う、アタシは勝てるはずがないと思ってたんだ。
スクアーロの強さは漫画で見たし、スクリーン越しにも見た。
強いってのはわかってたけど、ザクロには勝てないって…。


だけど、もし応援するんだったら……


「咲夜ちゃん! 早くっ!!」

「っ…!」


沢田に腕を引っ張られ、思考が呼び戻される。
アタシは今、何を考えていた?
どちらを応援するかなんて……応援なんてしないに決まってる。


グイグイと腕を引かれて走り続ける。
あまり体力はないのだが、それでも走り続けた。
というか引っ張られてるから立ち止まれないだけなのだが。


「ひいいっ!! なんか飛んだ!!」


沢田がアタシの後ろを見て叫んだが、振り向く余裕などない。
おまえ……運動音痴のくせによくそんな余裕あるな。
何もできないダメツナって設定じゃなかったか? おまえ。


「こっちです! 右に曲がった所にある川平不動産屋です!!」


三浦がみんなへ向けて叫ぶ。
ようやく休めるのか……いい加減疲れた。


「ありました! ここです!!」


辿り着いたのはボロボロの建物。
レトロというか、単純に古いだけというか…。

立ち止まると一気に疲れが押し寄せる。
全力疾走でこんなに走ったのはいつ以来だろうか。
もう未来にいる間は走らないぞ、絶対に。
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