キャラと関わらずに済む方法は? 2

□37話
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「う、わ……っ」


酷い騒音だ。
こんなものなら聞かなきゃよかった。


幕を開けた、ボンゴレとミルフィオーレの戦い。
苦戦していた獄寺たちに加勢した、ヴァリアーの奴ら。
死ぬ気の炎を吸収する、白蘭と瓜二つな『GHOST』という男の参戦。


アタシは安全な場所からそれを見ていた……否、聞いていた。
戦況はみんなの思考を読めば大体把握できる。

だが、もう思考を読むのはやめた。
人の思考を読むためのスイッチのようなものをオフにする。


ブルーベルが死んだ。
最後に聞こえたのはブルーベルの断末魔。

まあ断末魔といっても、悲鳴をあげたわけじゃない。
ブルーベルは、悲鳴をあげる前に絶命してしまったのだから。


けど、アタシには確かに聞こえた。
死の間際に心の中で叫んだ、悲痛な声が。……アタシだけに。


前に断末魔が聞きたかったとか言ったことがあったっけ。
バカだったな、その時のアタシ。


知人の断末魔なんて、聞いても嫌な気分になるだけだ。

ああ、気分が悪い。


「咲夜ちゃん、大丈夫……?」

「は、何が?」

「その……顔色が悪いから……」


顔にまで出ていたのか。
沢田に言われるまで気づかないとか……くそ、イライラする。
誰かに八つ当たりでもしたい気分だ。


この安全圏にいるのは、非戦闘員とリボーン、そして沢田。

アタシはあいつらの前で戦ったことがない。
正確に言うと、あいつらはアタシが戦ったことを“覚えていない”。
姫宮リリアとの戦いは、消去されてしまっているから。


まあ、忘れられていたよかったよ。
もし覚えていたら、戦闘員に含まれていたかもしれない。

あんな炎を纏った生き物や人が飛び交う危険な場所へ行ったら、攻撃されることはなくても、巻き添えを食らって死んでしまう。


……そんな場所へ。



「――――いってくる」



沢田は行くみたいだけど。


死ぬ気の炎を纏った沢田。
獄寺たちやヴァリアーの奴らを助けに向かうらしい。


……バカだなぁ。


死にに行くようなもんだよ。
もう沢田に会うことは二度とないかもね。


「…………沢田」

「咲夜……?」


呼び捨てかよ。
ほんとにハイパー死ぬ気モードになると性格変わるんだな。


「まあ、なんだ………………死ぬなよ」

「! ……ああ!」


おまえが死ぬと物語が終わるからな。
アタシのためにも世界のためにも、白蘭に勝ってこい。


空を飛んであいつらの元へ向かった沢田。
残された京子たちは、心配そうにその方向を眺めている。


死ぬなよ、沢田。

おまえに死なれると、アタシが困るんだ。





……ま、原作で沢田が死ぬことになってるなら、死んできていいけど。
 
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