Fanatical Night
□大好き
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「な、なんであいりがここにいるの!?」
突然の出来事に私は驚きを隠すことができなかった。
「なんでって…マネージャーさんから聞いてなかった?」
不思議そうな顔をして私を見つめるあいり。
「(き、聞いてないよ…。)う…うん。」
(まともに目を合わせられないよ…。)
私はうつむいたまま、顔を上げることができなかった。
「今日の鳥なんか変(笑)」
笑いながら私の顔を覗き込んでくるあいり。
「えっ、やっ…//」
顔がものすごく近い。もうあと少しでちゅーできてしまうんじゃないかってくらい。
私の胸の鼓動は、どんどん加速していく。
「べ、別になんでもない!!」
なんだかいろいろ耐えられなくなって、私はドアを開けて外に出ようとした……
その時……
「明音!」
あいりが私を呼び止めた。
(なんだろう。あったかくて…どこか懐かしい感じ…)
思わず、涙が溢れ出す。
「どうしたの?明音。」
私は小刻みに震えながら、涙交じりに話した。
「私、あいりのことが好きなの…。いつも私のことからかってくるけど、あいりとふたりで遊んだり、ばかなことをするのがすごい楽しくて…
これからもずっと一緒にいれたらいいなって思って…
でも私…あいりに上手く伝えられなくて…こんなこと想ってるの私だけなのかなって…」
私の心の奥に潜み、行き場を失くしていた感情が一斉に溢れ出す。
(自分はなにを言っているんだろう…)
(こんなこと言ったって、あいりを困らせてしまうだけってことくらい…わかってるのに…)
(ごめんね…あいり)
「ばーか。」
「えっ…?」
「そんなに泣いたらかわいい顔が台無し。」
あいりは泣き尽くしていた私を抱きしめ、耳元でそっとささやく
「好きだよ、明音。」
心の中に光が差し込み、暖かい感情が私を包む。
もしかするとわたしは、ずっと『その言葉』を待っていたのかもしれない。
私もあいりをぎゅっと抱きしめた。