1話〜
□ep3「自護団見学会」
1ページ/3ページ
「…る……ぃ…る………」
「(………?)」
「…ぃ、がる………おい、ガル…」
「(…誰かが俺を…呼んで…る…)」
「おい!!!ガル!!!朝だ!!!いい加減起きろ!!!」
「どわああぁぁぁ!?!?」
“ズダアァァァァァンンンッッ”
「ってぇ〜。キズク!いきなり耳元で大きな声だすなよ!!ビックリしてベッドから落ちただろ!!」
「知るか!!!何回起こしても起きないお前が悪いんだろ!!」
朝から騒がしいEAGLE WING館内の男性寮。
時計の針が1番上で重るというのに、まだ起きてこないガルをキズクが起こしにきたのであった。
まだぶつぶつ文句を言っているガルを無理やり引っ張り、大広間へ向かう。
大広間にはEAGLE WINGのルーラーが大勢集まっていた。
「…あれ、今日ってなんかあったっけ…?」
「なんかあったっけ?じゃねーよ。今日は、年に一度の自護団見学会の日だろ?」
「あー!!!ルーラー試験受ける奴らが、好きな自護団の見学に行くやつか!俺去年仕事だったから出れてねんだ!」
「そういえば、お前いなかったな。っつーか、午後から見学者が来るから、午前中に起きろよって言ったのに起きねーし。もうそろそろ見学者来ちまうぞ」
ルーラーになるには試験に合格しなければならず、その試験は約1ヶ月後に迫っている。
見事ルーラーに合格した後は、
自分で好きな自護団に入団する、
自護団には所属せず個人で活動していく、
また別の専門試験を受け政府に入る
など、道は様々だ。
今回の見学会とは、ルーラー試験合格後自護団入団を考えている者達が、自分の気になる自護団の見学をするというものだ。
自護団としても、新しい団員の獲得がかかっているため、ご馳走を用意してもてなす自護団などもある。
ガル達が所属している自団“EAGLE WING”は、ホウリア王国最強の自護団であり善人が多いことでも有名で、高い人気を誇っている。
そんなEAGLE WINGの見学会では、EAGLE WINGの団員同士のバトルを見せるのが主流なのであった。
「で、俺の対戦相手って誰!?」
「お前の対戦相手は…「僕だよ〜」」
「「ルイン!」」
ルインはニコっと微笑むとひらひら手を振りながら、おはようと一言。
「っしゃ〜!!!やる気でてきた!ルイン!今度こそ負けねぇからな!!!」
「まだガルには負けないよ!そういえば、キズクは誰と?」
「俺はリディアだった」
「へー!キズクとリディアって、戦うの初めてじゃない?」
「確かに!どっち勝つんだろな!」
ガルは、初めて目にすることになるキズクとリディアの試合に、心を弾ませていた。