恋の移ろいは季節と一緒に(立海/丸井オチ)
□3話 春V
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【丸井side】
「きゃー!!ブン太く〜〜ん!!」
「カッコイイーー!!」
「がんばってーー!!」
「お〜い、丸井。あの女子どもどうにかしろよ〜。うるさくて集中できねぇんだけど」
「知るかよ」
「人気者は大変だな」
「そして被害を受けるのはこっちってな」
「あははは」
どうにかできてたらとっくにしてるぜ。
そう思いながら、俺はボールをネットに向かってトスする。
一旦ネットに当たったボールは少し跳ね上がってもう一度ネットに当たって、そのままコロコロと伝って相手コートにストンと落ちた。
よっしゃ、これで俺らの勝ち。
「どう。天才的?」
「うわ、くっそ。また丸井のアレかよ〜」
「あーあ、負けちまった」
「丸井ナイス!にしても、ホントよくできるよな、そんなもん」
俺の得意技、妙技・綱渡り。
まぁこんなもん披露したからまた女子が五月蠅くなったけど、しかたねぇ。チームのためだ。
今日は球技大会。
運動部は自分と同じ種目は選べないルールで、それで俺はバレーボールにした。
だからテニスじゃねぇけど、綱渡りを応用して何度か点数を稼いだってわけだ。
勝ったこともそうだけど、ちっとテニスに使えそうな技のヒントの収穫もあった。
だから気分は良い。
相手チームと挨拶し終わって外野に目を向ける。
応援していた女子を筆頭にいろんな奴がいたけど
――なんとなく、その中に見つけたアイツと目が合った。
神谷は確か、バスケだったよな。この後か。
そう思ってたら、アイツは口パクで何か言ってきた。
“ オ メ デ ト ウ ”
そんで、目元でピースサイン。
俺のマネかよぃ。
ウィンクもしねぇでほぼ真顔でそんなことしてくるから、俺は思わず吹いた。
おもしろすぎだろ、アイツ。
そんな俺の様子に気づいたみてぇで、恥ずかしいのかそれを誤魔化そうとしてるしかめっ面がまたウケて、俺は思いっきり笑った。
自分からやってきたクセに。
チームメイトが「なんだ?」って顔してるけど、教えてなんかやらねぇよ。