恋の移ろいは季節と一緒に(立海/丸井オチ)
□7話 夏U
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【丸井side】
「まーるいくん!」
掃除の時間。
一人、ゴミ出しに中庭に来て教室に帰る途中で、後ろから声を掛けられた。
周りには誰もいない。
・・・・・・またか
こういう風に女子から声をかけられることは、日常茶飯事だ。
自慢なんかじゃねぇよ。
嫌っつぅか、こう、ちょっとウンザリしてたりして。
さり気なく振り返ったつもりだったけど、そんな内心が顔に出てたらしい。
「あはは!予想通りの反応!」
「は?」
ただ、返って来た反応はちょっとばかし、日常茶飯事のモンとは違ってて。
そういえば、どっかで見たことがあるような
・・・・・・・・そうだ。
「お前…佐藤、だっけ。たしか」
「へぇ!憶えてたんだ」
「いっつも神谷にくっついてるじゃん」
「わ、さっそく瑞紀の名前が出た」
「?どういう意味だよ」
「こっちの話こっちの!あははっ」
そう、確か下の名前は愛美…だったよな?神谷のヤツ、いつもそう言ってたし。
んで、柳曰くアイツの親友ってか。
なんつーか、テンションたけぇよな。
神谷にベッタリって感じだから、別のクラスだって最初は気付かなかったくらいだぜ。
てか、こっちの話って意味わかんねぇし。
「なんか用かよ」
「まぁまぁ、そう冷たくしなさんな。ま、あれだけ女子にキャーキャー言われてたら、そうもなるだろうけどねぇ」
「…喧嘩売ってるか?」
「おー、怖い怖い」
こいつ・・・・
このテンションと態度、たぶん、作ってるな。
ケラケラ笑って、いかにも人懐っこいように振る舞ってるけど
・・・・・俺に向けてるこの視線、好戦的だ。
「さっそくだけどさぁ。瑞紀のあのリボン、もしかしなくても丸井君があげたの?」
「リボン…ああ、あれ」
「そう、あれあれ」
とはいえ、こいつがあくまで表面上が普段通りなら、こっちもあくまで普段通りに徹してやる。
なにが目的で話しかけてきたのか、知らねぇけど。
あのリボン
それは、最近になって毎日、神谷が髪に結んでるリボンのことだ。