恋の移ろいは季節と一緒に(立海/丸井オチ)

□8話 夏V
1ページ/6ページ



【瑞紀side】









“我がクラス諸君に告げる。

 8月XX日に学校近くの神社で夏祭りがある由。

 ヒマな者どもは全員集合!つーか来い!



 ちなみに、女子は出来れば浴衣な。

 男子は違うのかってツッコみはナシで”











 ・・・・・っていう、ものすごく変な文体のメールが回って来たのは、夏休みに入って直ぐのことだった。

 送信者はクラス委員やってる、良い意味でいつもノリの良い柏原透。

 去年も、学年行事とかそういうところで、みんなを盛り上げてたな。

 今回は、いわゆるクラス会って感じで企画したのかも。







 もう、夏休みも後半に突入。

 過ぎてみれば、ひと月なんてあっという間だ。







 祭りか。さて、どうするかな…

 その前日の夜になって、メールを思い出してそんなことを思ってた矢先に

 また一通のメール。









“お前は祭り、どーすんの”








 ひと言。

 そんな大ざっぱで短い文章が、らしいと思って少し笑った。

 前後の脈絡がなさすぎるし。

 まぁ、そんなことわざわざ聞き返しはしなかったけど。








“特に決めてない。暇っちゃ暇だけど”






 とはいえ、だ。

 こっちもこっちで、いつもこんな感じだからヒトのこと言えたクチじゃない。






“浴衣、持ってんの?”

“まぁ一応は”

“んじゃ、今度は浴衣用に髪イジってやるよ。

俺はその日も夕方まで部活だから、やったリボン持って来い”

“うわ、すでにあたしが行くこと決定してるし”

“まー良いだろぃ。んじゃシクヨロ”









 なにがシクヨロなんだか。

 でも、暇なことは本当だし、別に拒否する理由もないし。

 それに








 一緒に花火とか見たら、楽しいだろうなって自然と思ったから。







 棚にしまってある浴衣を、ずいぶんと久しぶりに引っ張り出した。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ