恋の移ろいは季節と一緒に(立海/丸井オチ)
□15話 初冬
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とある駅構内――
「幸村、近頃あまり身体の調子が良くないようだが」
「風邪でも引いたかの?」
「うーん…そういう症状とかはないんだけど。やっぱり、みんな気づいてた?」
「ええ。どこらへんがと、はっきりは言えないので黙っておりましたが」
「精市にしては、動きがぎこちないような気がする」
「神谷もなんか心配してたぜぃ?いつもみたいにスケッチしてるけど、なんかビミョーに違和感あるって」
「ああ、それは俺も直接、言われたよ。確かに、なんか最近、少し身体動かしにくく感じるんだよね」
「病院で一回、診てもらった方が良いんじゃねぇか?」
「そこまでじゃないと思うんだけどなぁ…寒くなってきたし、あとは成長期だからじゃないかなって思うんだけど」
「む…一理あるが、油断は禁物だぞ」
「はいはい、わかってるよ」
「先輩達、待ってくださいよー!」
「赤也はいつの間にはぐてたんじゃ。気付かんかったぜよ」
「ひどいっす!!」
「ふふ、迷子になっても知らないよ?」
グニャリ・・・
「(……?今、景色が…眩暈かな)」
「先輩達ってカラオケでなに歌うんすか?」
「俺は演歌が好きだぞ」
「ジャッカルは相変わらずじゃの。わしは特になにもないぜよ」
「俺はORANGE RANGEが好きだぜぃ」
「ああ、いいっすよね!じゃ一緒に歌いましょうよ!」
「二人とも、他の方々がいるところで騒ぐのはみっともないですよ」
「まったく…たるんどる!今日は少し息抜きするとはいえ気を緩めすぎるな!」
「赤也、イイ子にしていなければクリスマスにサンタクロースが来てくれないぞ」
「はいっす!わかりました!」
「お、おい柳…今のは」
「ジャッカル、赤也はサンタクロースの存在を100%信じている純粋な中学男児だ」
「将来、詐欺師に引っかからないか、ちと不安ぜよ」
「お前がそれを言うか」
「(あ、れ……俺は、どうしたんだろう…?みんなの声が…すごく、とおくに、かんじ――)」
ドサ…ッ
「…む?――!?幸村っ!!?」
「は?え、ちょ、おい!?幸村君どうしたんだよぃ!?」
「部長!!」
「精市、どうした、聞こえるか!?」
「幸村、どうしたんじゃ!」
「おい、こりゃヤベェんじゃねぇか!?」
「馬鹿モン!!早く救急車を呼ばんか!!」
「部長、しっかりしてくださいっす!!」
「バカ、赤也!むやみに揺らすな!」
「電話が繋がりました、すぐに来てくれるそうです!」
「(みんな、の…こえが、とおい……いきが、できな…)」