短編

□大事なもの
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『....結局何も守れなかった』




秋人、博臣。



みんなみんな守れなかった。



『博臣、ごめんね。』



美「何謝ってるの」



『美月....』



美「バカなこと考えてないわよね?」



私は黙った。



私と博臣はもともと幼馴染。


それを経て恋人同士になった。



告白は私からで。






.....きっと無理して付き合ってくれてたんだなぁって思っている。


だから、離れようとしているのにそれを美月は見透かした。





美「....兄貴は本当にあなたが好きなのよ」



『はは、励ましありがとうね。でも私の意思は変わらないよ。』


美「.....」



『守れなかったんだよ?自分の身一つ守れない、大事な人も守れない、こんなの居たって邪魔なだけだよ。
きっと博臣もそう望んでる』





大事だからこそ離れよう。




『....じゃあね、美月。博臣によろしくって言っといて』



博「俺になんだって?」



『――――!!!!』






ここにいるはずない人物が私の前に立っていた。




『どうして....』




まだ寝ていたはずなのに。




博「で、どこに行くんだ?俺には内緒で」



『......』



博「華」



『っ...!!!』





名前を呼ばれてたまらなくなり、涙をこぼした。


でも、泣いてる姿なんて見せられるわけなくて走り出す。








博「まてっ!!!」



『っいや...!!!離して!!!』


博「俺の話を聞け!」



『っ.....』




抱きしめられて抵抗できなくなり、私は抵抗することを諦めて博臣の言葉を待った。







別れよう?






そんなネガティブなことしか思い浮かばなくて。






博「.....俺は、華を邪魔だと思ったことは一度もない。
むしろ居てくれないといけないぐらいだ。
....この前のは危険なことには巻き込みたくなかったからお前を置いて行った。

でも、それがお前を苦しめることになった。
....ごめん。」




『ひ、博臣は悪くないの!私が弱いから...』



そう。

全部私が悪いのに。


どうして、どうして謝るの.....??



『....あの、博臣....』


博「好きだ」


『.....へ?』



博「俺は今まであまりにもこの言葉を言わなさ過ぎた。」



『え、あの、へ?』



博「だから頼む。.....俺から離れないでくれ....」


さっきより強く抱きしめられて、心の奥底においていた気持ちがあふれ出す。









『....私、そばにいていいの....??』



博「いてくれないと俺が困るんだ」



『っ〜.....!!』



博「華」







名前を呼ばれ私は笑って返事をした。























































大事なものが何か。

それはきっと博臣とで生まれそうな気がするの。



...だから、もう少し、もう少しだけそばにいさせて。





























































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