短編
□ヤキモチの気持ち
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....なんでその子ばっかり構うの?
メガネが似合うから?
可愛いから?
そんな醜い嫉妬と葛藤してる私は凛咲華。
そして、神原秋人は幼馴染でもあり恋人でもある。
そんな秋人は私との約束をドタキャンして栗山さんというメガネがすごく似合う可愛い子とどこかへ行ってしまった。
なんで知っているか、それは本人が言ったのだ。
....聞きたくなんかなかった。
ドタキャンされた私は美月のいる文芸部の部室へ。
『美月ー....』
美「なに」
『私もメガネが似合う可愛い女の子になりたい....』
美「聞き飽きたわ」
美月に会うたびにこれを言っては愚痴をこぼしている。
けれど追い返しはしない。
こういう優しいところに私は甘えてしまっている。
『秋人何してるかな....』
きっと可愛い栗山さんとのデートを楽しんでいる最中だろう。
堂々と浮気してるのですか。
溜息しかつかない私に、ついに美月はキレた。
美「そんなに気になるなら後でも追いかけなさいよ!!!」
そして追い出されました。....初めて追い出された。
しばらくボーっとしたあと、帰ることにしたのだった。
その夜、意地になって電話もメールも全部無視してやった。
美月が仕方なく作戦を考えていてくれたのだが、その作戦1だ。
とにかく無視する。
その2が博臣と行動すること。もちろん博臣にも協力してもらった。(美月パワー)
学校につけば、当然聞かれる。だが、それを無視して博臣のところへ行く。
『はぁ...ごめんね博臣。今日なんか奢るよ』
博「別にいいさ。アッキーにはちょうどいい罰だ」
『そうだといいけどね....。あ、じゃあこれあげる』
そう言って私が渡したのは美月の写真だ。こういうこともあろうかと撮りまくっていたのだ。
あとは人間観察的な。
博「いくらでも協力しよう」
博臣の目が一層に輝いたのは言うまでもない。
放課後、もちろん秋人のことは無視してます。
博臣と帰る予定です。
博「いつまでやる予定だ?」
『んー....特には決めてなかったかな....。とりあえず一週間?』
あははと笑っていると腕をつかまれる。
博臣かと思えば、違って。ゆっくり振り返れば怒りに満ちた顔をしている秋人がいて。
博「頑張れよ華」
『ちょ、博臣!?』
ひらひらと手を振ってあっさり帰ってしまった博臣。
....だ、だが私は悪くない。秋人が悪いんだ。
秋「なんで無視するんだよ」
『....自分で考えてよ』
秋「...昨日のこと?」
図星をつかれて思わずびくっと体を揺らした。
秋「ごめん。栗山さんがどうしても心配だったから」
『....わかってるよ。秋人は私よりメガネが似合ってる可愛い栗山さんのほうが好きだもんね。』
秋「それは違う!!」
『何が違うの!?私より栗山さんばっかり優先してるくせに何が違うって言うのよ!!!』
『栗山さんが来てから秋人は私なんかに見向きもしなくなった!!!先に約束してても栗山さんのことで全部ドタキャンされるし!!!』
『そりゃ私はメガネも似合う可愛い子じゃないよ!!それでも...それでも....!!!』
秋人の恋人は私じゃないの....???
涙をこぼしながらそう言った。すると、掴まれていた腕が解放され、かわりに秋人の香りに包まれる。
『あ、ひきと....??』
秋「ごめん。」
『謝らないでよ....』
秋「華のこと好きだ。...もしかしたら妖夢関係で栗山さんを優先すると思う。でも、僕が好きなのは華だけだから。」
それは初めて秋人聞いた"好き"の言葉だった。
『....うん。』
笑顔で頷いて久しぶりの秋人を堪能する。
....私の大好きな秋人の匂い....。
すると秋人が口を開いた。
秋「じゃあ、一つ約束する。」
『?何を?』
秋「栗山さんと会う前に華に会いに来る。それで好きだって言ってから栗山さんのとこ行く。」
『な、なにそれ....』
秋「ま、いいから帰るか!」
『....仕方ないなぁ。ケーキで許す!!』
そんな約束をちゃんと守ってくれる秋人が大好き。
半妖でも秋人は秋人。私の大事な.....
恋人なのだ。
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