僕の世界
□平和な世界
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場所は王都、とある宿屋の一室。
「あーっ、疲れたぁ〜!」
部屋に入るなり、リファが荷物をそこらに放り出してベッドにダイブする。
「姉さん、荷物くらい片づけてよ…」
アルがリファを諌めながら荷物を下ろす。
「おおー、広いなぁ」
「…おおー」
続いて俺---ジャック---が、メリルの手を引いて部屋に入る。
俺は部屋の広さに驚き、メリルも俺のマネのような声を出していた。
この宿屋の中でも、上等の部屋を用意してもらえたみたいで、部屋はかなり広い。
「すまねぇなぁ、宿代まけてくれた上に、いい部屋もらってよぉ」
「いやいや、あんたには世話になったからさ、気にしないどくれよ!」
部屋の入り口の所で話しているのは、筋骨隆々な竜人のヴァイスと、そのヴァイスとは真逆な体型をした、まん丸お腹が特徴のタヌキ獣人の宿屋のおかみさんだ。
なんでも、ヴァイスが以前にこの宿屋の人を助けたことがあったらしく、それがキッカケでヴァイスはこの宿屋で色々と良くしてもらっているらしい。
どんなことがあったのか聞いたけど、ヴァイスにははぐらかされた。
ただ、宿屋の主人がヴァイスのことを命の恩人と呼んでたから、きっと相当大きな事件でもあったんだろう。
ヴァイスが話してくれなかったのは、照れ隠しだな、たぶん。