Changing

□狼と猫、可愛さ倍増!
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話もそこそこに、街に戻るためにみんな歩き出した。
しかし、その道中カナタとミスラが何かと俺に話しかけてきて、俺が何か吠える度にマルに通訳をさせるため、ただ移動しているだけなのに疲れた。


「えっへへへ〜。ロウと話ができてるなんて嬉しいな〜」

「あたしも楽しいっす!犬とか猫とか、動物と話をするのって、子どもの頃からの夢だったんすよ〜!」

鬱陶しいとは思うものの、女子2人が心底楽しんでいる様子を見ると怒るに怒れない。
行き場のない思いを発散させようと、少しばかり歩を早める。

すると、俺の背中の上で、何かが動く感覚があった。

「うわ、わっ、とと…。…あ!ごめんなさい、ロウさん!思い切りタテガミ掴んでしまいました!」

俺の背中に乗ったマルが、あたふたしながら謝ってきた。顔は見えないけど、声の感じからして大分焦っているようだ。

…そう、マルは今、馬に乗るような体勢で、俺の背中に乗っている。
狼の背中に猫が乗っている、何とも奇妙な状態。こんなことになったキッカケは、あいつ…カナタの言い出したことだった。





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「マルちゃん、もしかしてだけど…。ロウのこと、怖がってる?」

ライとミスラの兄妹喧嘩がそこそこに終わったところで、カナタがマルに向かって尋ねた。

「えっ…。そ、そんなこと、ないですよ」

明らかに図星を突かれ、動揺した様子で答える白猫。
目を泳がせ、どもりながら発した言葉にはまるで説得力がない。

まぁ、マルに怖がられていることには、俺自身何となく気づいていた。

なんせ最初は喰われると思い込まれてたくらいだからな。
いまだに喰われるかもしれないと思ってるのか、俺が牙を見せる度に、この白猫はビクリと震えて遠ざかっていくのだ。

カナタはマルの様子を見て大体のことを察したのか、うんうんとうなり始めた。

「うーん…。これから一緒に行くことになるのにその調子じゃダメだよね…。怖いと思う気持ちを無くすには…。仲良くなるとか…?」

カナタは俺とマルを交互に見て、何か考えている。
…なぜだろう、嫌な予感がする。

「…そうだ!!」

カナタは手をポンと叩き、閃いた!という顔をする。なんだか頭上で電球が点いたような顔だ。

「マルちゃん、ちょっとジッとしててね」

「えっ、あの、何を…」

カナタは白猫を有無を言わさず抱き上げると、そのまま俺の方に近づいてきた。
そして…。

「ロウ、ちょっと背中貸してあげてね」

とすん、と軽いものが背中に置かれる感じがした。
その後、カナタは俺から一歩距離を取った。

「…あの、カナタさん、これは…」

背中からマルの声が聞こえる。…大体状況は察したけど、これは…。

「早く仲良くなるには、一緒にいるのが一番だよ!そういう訳だから、マルちゃんの定位置はロウの背中ね!」

ビシッと人差し指を向けてマルと俺に言い放つカナタ。
…なんでこんな自信満々なんだよ。どうしよう、この指噛んでやってもいいのかな。

「うわぁー!!可愛いー!カナタちゃん天才っすねー!」

ミスラは目を輝かせて拍手している。狼の姿の俺の背中に猫が乗っている絵面が、よほど気に入ったのだろうか。

首を限界まで後ろに回して見ると、背中にちょこんと座る白猫の姿が見えた。

「あっ…。ごめんなさい、すぐ降りますから」

「ガフッ、アオン」

別にいい、そのままでいろ、と意味を込めて吠える。

「えっ…。そう、ですか。…すみません…」

なんで謝るんだよ、と言おうと思ったが、その時。

「ねねね、マルちゃん、ロウは今なんて?私の勘だと、『いいってことよ』とかそんなこと言ってたと思うんだけど」

「ミスラちゃんには『拙者に遠慮など要らぬ』とかそんなこと言ってたように聞こえたっす!」

カナタとミスラが俺の発言内容を予想して、マルに確認してきた。
カナタはまだいいとして、なんでミスラの中の俺は武士の口調なんだよ!
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