Till when should I wait?
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到着した時には目の前に冬獅郎が地に伏せていた
辺りには氷輪丸を使ったと思われる氷や雪の跡があり、若干気温も低かった
しかし、私が冬獅郎が倒れていることよりも、そのそばに血塗れの桃がいることよりも目を疑ったのは。
「藍、染さん…?」
死んだはずの五番隊隊長の藍染さんがそこに居たのだ
「やぁ、華くん」
何て言いながら、私に微笑みかけて。
「何で…?!」
「心配かけてすまなかったね。実は生きてたんだ」
藍染さんはそう言って手を広げたけれど、私は素直に信じられなかった
「…どういうこと。っギン!何しようとしてるの二人で!」
私はギンの方を向いて、叫んだが、ニヤつくだけで返事は返って来ない
「…やはり、君はやりにくい。雛森くんはこう言えば、疑いもせずに抱きついて来たんだけどね」
「まぁ、それが出来たのも、君が日番谷隊長とか松本副隊長を引きつけておいてくれたお陰だ」
藍染さんはいやらしい笑みを浮かべて私を見た
嫌だ、嫌だ嫌だ!
こんなの私の知ってる藍染さんでも、桃が尊敬してた藍染隊長でもない!
私は藍染さんの言葉を否定するために声を張り上げた
「っ、私は!桃や冬獅郎をあんたに殺させる為にギンの頼みを聞いたんじゃない!!」
必死に訴えたけど、そんなことお構いなしに藍染さんは言葉を続ける
「君にとってはそうかよしれないが、結果として、とてもいい仕事をしてくれたんだよ。」
「いい、仕事…!?」
「あぁ、百年前、君はギンと一緒に五番隊に入隊した。ギンは僕の計画に協力して貰う為、君は平子真子たちを欺く餌として・ね」
「何で、そこで真子さんが出て来るの…?」
「おや、知らなかったかい?平子真子たち八人が尸魂界からいなくなったのも、それを助けるために浦原喜助たちが追放されたのも、僕の虚化の実験のためだよ」
「虚化?…実験って、」
そこで私は一つの考えに辿り着いた
「…まさか、私が現世滞在任務についたのは…!」
私の言葉に藍染さんは笑って答える
「ご名答。僕の指示でね、平子真子や浦原喜助を偵察に行かせたんだ。…まぁ、君はそれを何時迄も過去から離れられない自分のために、ギンがくれた好意だとでも思っていたようだが?」
何て、馬鹿なんだろう。
どうして気づかなかったの。
百年前、大好きな隊長たちが消えた原因を作った仇がずっとそばに居たのに。
そんな奴を信頼して、百年も何もせずにやってきたなんて。
全部こいつの掌の上で転がされていたんだ。
それを自分のいいように解釈して、喜助さんや真子さんを見つけたことをギンに言いふらして。
「ゆる、さない。許さない…あんただけはっ!藍染!!!」
私は怒りに身を任せ、刀を引き抜いた。
瞬時に解号を唱え刀剣解放し、目の前の憎き相手へと向かう
霊圧は最大まで上げた。
利き手の左手に持ち替えたから、威力は普段の数倍。
なのに。
「あかんなァ、華」
「…え」
私の刀は藍染には届かなかった
違和感を感じて胸元に目をやると、遠くから伸びたギンの刀が私を貫いていた
「何で、…ギ、ン」
血を吐き、刀を落とした私はギンに刀を胸から引き抜かれ、その場に倒れこんだ
「おや、君がトドメを刺すとは」
「すんません、藍染隊長。手間かけさしたらあかん思て手ェ出してしまいました」
「いや、いいんだよ。僕は君が幼馴染相手だとやりにくいんじゃないかと思っただけだ。」
「そら、おおきに」
どんどん遠のいていく意識の片隅で二人の会話が聞こえた
藍染だけは、私から大切な人を奪ったこいつだけは許すまいと睨んだけれど、その睨みにも力がこもらない
最早体の感覚はなく、拳も握れない
自分の体を中心に見たことも無いような量の血が水たまりのように広がっていた
いや、一回だけある
自分で自分を殺そうとしたとき。
でも、あの時はギンと乱菊が私を連れ戻してくれた。
じゃあ、今は誰が来てくれるの?
乱菊は私が眠らせた。
ギンはこの状況を作った張本人。
誰を呼べって言うんだ。
必死に意識を保とうとしたけど、そんな抵抗も虚しく私は気を失った