memory
□episode3 破面
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織姫たちと別れ、帰る途中。
棗は織姫に着いて会いに行ったのが朝から自分を苛つかせた平子で、一緒に居たひよ里に苛ついていたのを悟られてダブルでむしゃくしゃしていた。
彼らのアジトに行ってもいいが、別に仲良くなったわけでは無いので行きづらく、やっぱ行こうかなと考えた後に平子を思い出してまたイラついてやめた。
(あンのクソハゲ…次会ったら髪の毛むしってひよ里に蹴ってもらう)
ひよ里には口ではキツく突き放したものの、昨日の蹴りっぷりと口調から分かる面倒身の良さを頭に浮かべて平子に仕返しのシミュレーションをしていた。
その時。
ドンっと凄い音がして、衝撃波が来た。
大きな霊圧を二つ感じ、そちらの方を向く。
「暇つぶしにちょっと遊んで来よかなァ…」
そう呟いて、棗は霊圧の元に向かう。
同時刻
一護も夏凛に問い詰められていたがそれを振り切って死神化し、現場へ向かった。
織姫と茶渡も霊圧と衝撃に気づき走り出していた。
棗は走りながら周りの異変に気付いた。
「…!!」
「魂を…吸うてんのか…?!」
見れば近くの人間がバタバタと倒れ、その身体から抜けていく魂が一つの場所へと集められていく。
棗は顔を歪めて
「早よ行かな、こりゃヤバイで…!」
とまた走り出した。
霊圧の出処である大きな穴が空いたその凹みには二人の男が居た。
周りの人間には姿も見えないが、大男の方はジロジロ見てくる人間にイラつき、魂吸を使った。
「まじィ!!」
大男は文句を垂れる。
それに「当たり前だ」と答える小さい方の男。
棗が到着すると近くにたつきが倒れていた。
「たつき!!」
すると後ろから棗ちゃん!と声がして、織姫と茶渡が駆け寄ってきた。
「…たつきちゃん!」
織姫は魂吸で息絶え絶えのたつきを見て、慌てて抱き起こす。
「…あんたはたつき頼むわ。」
棗はそれを見て、自分のすべきことに専念する。
織姫達の前に立ち、目の前に居る諸悪の根源を見据えると織姫が驚いてこちらを見た。
「棗ちゃん!?まさか、戦う気?!」
織姫が驚くのも無理は無い。棗は織姫や茶渡が能力者だと知っているが、あちらは棗のことを先程のこともあり疑っていたものの何者かは分かっていなかったからだ。
「何やうちがこないなバケモンと戦うたらアカンか?ほら、あんたも手伝いぃ、茶渡クン」
と言いながら後ろの大きいのを指指す。
「柿本お前…その刀…!」
茶渡に言われて目をやると、手に持っていた残魄刀のことを言っているようだ。
「あぁ、これか?やけど今はそんな場合やあらへん。自分の敵に集中し!!」
と言って棗は小さい奴へ向かっていった。