Till when should I wait?

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ルキアが処刑されるまで十日と少しを過ぎた頃に一つの連絡が入った



【緊急警報!緊急警報!西流魂街に旅禍出現!!直ちに隊長以外の席官は向かうように!!】



けたたましい音で周りに呼びかける緊急警報。


この音は嫌い。
あの日を思い出すから。



「ギン、行くの?」


私はその時執務室でギンと二人っきりだった
イヅルは書類を届けに出かけたから私たちより先に向かっていることだろう



警報の音に過剰反応してしまう
無表情な私も少し顔をしかめてギンを呼ぶとあぁ、そやった。と
言って笑いかける



「一人はあかんのやったね。華もおいで」




「うん」


私はギンの後をついて行く



本当によく出来た恋人だ
嘘だとは言え、幼馴染でもあるから私が百年前の事件で鳴り響いた警報の音に今も怯えていることを知ってる


さりげなく気遣ってくれるギンに口には出さないけど感謝する




てくてく呑気に歩いていると門が見えてその前に隊士が集まっていた


すると

「あ!市丸隊長、華君!」

「イヅル、もう来てたん?流石やなァ。偉い偉い」



イヅルがギンと私に気づいて駆け寄ってきた



「茶化すのはよして下さい。それより、何故ここに?…隊長は隊舎で待機のはずですよ」

イヅルはギンをたしなめて、問いただす


「見物だよ。…旅禍がどんな一目見たくてね」

私は顔色一つ変えずにイヅルに言うとため息をついた


「華君まで…とにかく余り手出ししないで下さいよ。まあ、門の向こうに居るので先ず入っては来れないとは思いますが」


「はいはい」


イヅルはちゃんと分かってるんですかと言いたそうな顔をしたけど、ギンは無視して鼻歌を歌いながら門を見つめる



「ねー、旅禍ってどんななの」

「知らんよ」

「知らないのに来たの?」

せっかく聞いたのに何と知らないので不満げにそう言うとギンは

「見物や言うたやろ」

と呟いたから私もそれ以上文句を言わなかった





暫くするとあり得ないことが起こった



門番の兒丹坊が門を開け始めたのだ



「…なーにしてんのかな、あの人」

私は思ったことをそのまま口にする


ギンも門がどんどん開いていくのを見て



「あかんわ」



と呟き歩き出す。



「私も行く」



「…あかん言うても着いてくるね、これは」



ギンは後ろをついて行く私を見てため息をついて諦めた


「よく分かってるねー」



「…幼馴染やからね」



今日は恋人やからって入れないの?と聞きたかったけど、もう門が上まで開きかかっているから黙っといた



イヅルは私たちの行動に首を傾げたけど、それを無視して二人で開いた向こう側にいる旅禍を見据えた



ギンの姿を見つけ、動揺する兒丹坊に旅禍が心配そうに問いかけていた


あれ?
この霊圧と声。


一護?


「…市丸ギン…三番隊隊長…!」


そんなことを考えている間に兒丹坊が勝手に旅禍にギンのことバラしちゃって、あーあとため息をつく私。



「あかんなァ。門番は門開けるためにいてんとちゃうやろ」



皆が呆気に取られている間にギンは兒丹坊の腕を切り飛ばし、旅禍たちは驚いてこちらを見た



「何だ!…今あいつ何をした?!」





「…ダメだよ」




私はそう呟いて旅禍に目をやると、やっぱり一護で、それに織姫、茶渡君とこないだの大虚事件の主犯者(ていうかただ撒き餌使っただけだけど)の石田君と夜一さんが居た




夜一さんは現世で会ったままの黒猫の姿で皆を率いていた
私の姿を見ると驚いたように目を見開いたから私は余計なことを言われたくなくて


「しー」

と言って黙らせた




その間にもギンは兒丹坊と話していて、それが気に食わなかったらしい一護がギンの前に立ちはだかった


「なんてことしやがんだこのキツネ野郎!!」


後ろの夜一さんたちは効果音が聞こえてきそうなくらい驚いていた
私もキツネ野郎はちょっと面白かったけど。



「邪魔しないで」


「!東雲!?…ってめぇ、よくもぬけぬけと…!!」

一護は現世で受けた対応を思い出して歯を食いしばった
私は気にするでもなく言葉を続ける


「分かんないかなぁ、この人がやっちゃいけないことするからギンが注意してるだけなのに、横からしゃしゃり出てきて」


「華ちゃん…」


「やー織姫。元気にしてたー?…茶渡君もー」

「東雲…!」


私がわざと煽るように二人に話しかけると驚いて茶渡君は私を睨んだ


そっか、そう言えばこの二人に私が死神だって言ってなかった。
驚くのも無理ないね、なんて思っているとギンが横から手で私の行く手を遮った



「華、退いとき」


「…んー」




私がギンの言うことに大人しく従うと、彼は斬魄刀、[神槍]を構えて一護を門の外へと弾き飛ばした



「バイバーイ♡」

ギンは♡マークまで付けてそう言って、私が彼らに睨まれているうちに門が閉まった





「ギン、何で殺さなかったの」


私は率直にそう聞いた
ギン程の腕なら外に弾き飛ばすだけじゃなくて、心臓を狙って殺すことも出来たはずなのに。



「…気まぐれや気まぐれ。何や面白そうやからなァ」


「そう。…何でもいいけどイヅルに怒られても私のせいじゃないからね」



二人で後に待つ副隊長の説教の言い訳でも考えていたけど、隊舎に帰ってから私たちの元にやってきた一匹の地獄蝶によって打ち砕かれた



【三番隊隊長市丸ギン!同隊三席東雲華!今すぐ一番隊隊舎へ来るように!!格隊隊長も緊急の隊首会を行う!同様に今すぐ集まれぃ!」


地獄蝶は総隊長直々のもののようで、イヅルより面倒臭い説教に肩を落としたギン、


「はーあ、ほんなら行こか華。怒られに」

「…私ちゃんと止めたのに」


こないだのルキアの件があるから真面目に止めたのにギンはそんなことお構いなしに殺さないで逃がしちゃって、バカ。



私はため息をついて、ギンと共に一番隊隊舎に向かう
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