memory
□episode13 覚悟
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60年後…
相変わらず棗はサボり魔で、執務中に抜け出すことが多く、その度に漆部か笹谷が捕まえに行くのが日課になっていた。
「隊長。いい加減仕事してもらいますよ」
どうやら今日のその当番は漆部だったらしい。
「えェ〜十番隊には優秀な部下がようけおるんやからうちなんかおらんでも大丈夫やろォ?」
「バカ言わないで下さい。隊長の印を貰わないと終わらない書類が山程溜まってるんです」
「ダメじゃないか、今度はちゃんと仕事が終わってから来なさい」
「浮竹さーん、助けてよォー」
「はいはい、帰りますよ。浮竹隊長うちの隊長がお世話になりました。失礼します」
「ああ、またな」
十三番隊で浮竹とお茶をしながらサボっていた棗をズルズルと引きずりながら隊舎へと戻る漆部。
「そんなん勝手に使て終わらせたらええやんー。お茶ーお菓子ー誰か助けてー」
「良い歳してぐずらないで下さい。子どもですか貴女は」
「やかまし。子どもで悪かったなァー」
「ハイハイ、さっさと帰りますよ」
「漆部のケチーアホー分からず屋ー」
漆部もすっかり棗の扱い方を熟知し、毎日サボっている棗を見つけては苦しい言い訳を軽くあしらい、隊舎に連れ戻す、というのが業務の一環のようになっていた。
「…ところで、隊長今晩空いてますか?」
「何や、うちのこと襲います宣言か?気持ちはありがたいけ「違います。しかも私女ですから。じゃなくて、隊員と副隊長を誘って飲みに行くので、良ければ隊長も来ませんか」
「それを早よ言えや!もっちろん行く!行きます。行かせていただきます!」
「わかりました。くれぐれも無闇に飲み過ぎないで下さいね」
酒癖の悪さも相変わらずで、十番隊どころか、年中酒を飲みまくっている酒豪揃いの十一番隊でさえ、棗の飲みっぷりに勝てるものはおらず、影では「酒鬼」と呼ばれていた。
「よっし!んなら、酒の為に仕事頑張ろっと!」
「お酒が絡まなくても仕事して下さい」