memory
□episode26 蛆虫の巣
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あの日、棗はひよ里の治療を終えた卯ノ花に検査のため、四番隊へと運ばれた。
検査で、棗は霊圧が隊長格並みにあることが判明し、霊術院を卒業したばかりの者が扱える大きさで無く、また暴走する危険性があるとして蛆虫の巣に入れられた。
総隊長に事情聴取を受けた後棗とひよ里の様子を見に来た平子達は来て直ぐ、検査の邪魔だと卯ノ花に帰された。
一晩明けて、四番隊隊舎に行くと既に棗の姿は無く、卯ノ花に問うと
「…特別管理棟。蛆虫の巣に移しました」
「!!!!!」
卯ノ花は治療と検査だけを行ったと言った。
それには隣で寝かされて、目を覚ましていたひよ里も驚いていた。
総隊長に何故勝手に特別管理棟などに入れたのか、と抗議したが
「危険だからじゃ」としか答えなかった。
ならば会わせてくれと頼んだが、断られた。
「何でや!?あいつが何したんか!今回は霊圧暴走させてしもたけど…霊術院おったときそないなこと一回もなかったし、ホンマに成績も優秀やったんやぞ?!」
「それは分かっておるが、例外は認めぬ。」
ひよ里は卯ノ花による治療で完全に傷が治ったので退院許可を貰い、平子達と帰っていた。
隊首室を出た後、平子は呟いた。
「…隊長格になろう」
「隊長格やて!?何のために」
「隊長格やったら蛆虫の巣に入れる。…あいつをあそこから出してやれるかもしれん」
平子の言葉にひよ里が顔をしかめた。
ひよ里は特に棗が蛆虫の巣に入ったことに責任を感じていた。
自分を助けるための仕方ない事だったのに、どれだけ卯ノ花や総隊長に抗議しても聞き入れてくれなかった。
そのためにも。
「…やったるわ。強くなって席官にでも隊長格にでもなったる!」
ひよ里に応えるように皆もうなづく。
「早よ棗に会えるように頑張らんとね」
「また一緒におはぎ食べに行くんだ!」
「…あいつがいねえと静か過ぎて調子狂うな…」
「そうだね、僕達はもう席官だけど、まだ上には行ける。上まで上り詰めて棗に会いに行くよ」
「折角可愛い後輩が入隊したっていうのにこんな仕打ち、惨すぎるだろ」
「…隊長格になって、周りが納得する方法で棗を取り戻したるんや」
平子がそう言うと、返事は無かったが目で応えると皆自分達の隊へと帰って行った。
「…待っとれよ…棗」