Till when should I wait?

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何時もと変わらぬ慌ただしい一日



今日もまた同じ朝で目が覚め、
もう少しで通い慣れた自分の隊舎につく



だるそうに一人歩きながら私は周りに目を見やる




出勤時間が同じくらいの下級隊員が私に気づいて少し遠いところから挨拶をしてきた




はい、おはよう
今日もムカつくくらいいいお天気だね





私は一切表情を変えず、いつも通りの真顔で挨拶を返した





ふとポカポカと降り注ぐ太陽の光に気づき空を見上げる






こんな天気の日と月初めには必ずあの人を思い出す



私は心を閉ざしたハズなのに、百年経ってもこれにだけは反応するらしい




チクリ、と胸が痛んで着物の裾を握りしめる











「おはよー」


「おはようさん、華」



「おはよう、華君」



隊舎に着き何の迷いもなく廊下を進み執務室へと入ると、挨拶をしてきた者がいた


一人は金髪の目の下にクマを作った副隊長の吉良イヅル。



元々彼は私の後輩だったけど、今では上司。
まぁ、上司と言っても私は敬語持つかわないし呼び捨てのままなんだけど。





もう一人は銀髪の表情の読めないキツネ顔した隊長さん。
市丸ギン。

のらりくらりとあっちやこっちにふらりふらり
気づけばいなくなって、いつの間にか帰って来てる。



こいつとは昔馴染みで、私が十三隊に入る前からの付き合い。
なのに、掴み所が分からなくて毎日難儀してる。











「今日は遅刻ちゃうやん。珍しいなァ」


「人聞き悪いなぁ、最近はしてないよ」


「せやったっけ?」


「そうだよ」



ギンとたわいもない話をしながら席に着くと、既にイヅルによって振り分けられた今日の分の書類が積んであって、ため息が出た



「面倒臭い」


イヅルは私の言葉にため息をついて叱咤する




「君がサボるからいけないんだよ。隊長も、今日は終わるまで隊舎から出ないで下さいよ。この机に乗り切らない書類がまだまだ残ってるんです。他隊への届け物は僕か別の者が行きますから」


「えェー?何やのそれ、僕が仕事してないみたいやん」


「事実してないじゃないですか」

文句を言うギンにイヅルはキッパリと言い放ち、ギンはわざとらしく驚いたような顔をした

「そない怖い顔せんといてや。ひゃあ、うちの副隊長怒らせたらあかんなァ」



ギンはそう言ってケラケラ笑った
イヅルをからかうのが趣味の彼は毎日毎日飽きもせず、目くじらを立て怒る様子を見てニヤニヤしている。


今日は特にツボに入ったのだろう、声まで上げて笑っていた。







すると、笑うギンの横で真顔で筆を執る私に気づいたイヅルがたじろいだ




イヅルが副隊長になってから結構経つのに、相変わらず私の無表情、無反応には慣れないらしい




その反応を見てまたギンは笑うけど、
私は笑わない




笑えない









「イヅル、これ届けてくる」


「あ…ああ、お願いするよ」



席を立ち、ある程度処理した書類を届けに隊舎を後にする



話しかけた瞬間のイヅルの顔が目に浮かんだ

あんなにビビらなくてもとって食ったりしないよ



何でそんな怖がるのか、自覚症状はあるんだけど自分では治せない



イヅルだけじゃない
部下も、書類を届けに行った先で出会う他隊の者も皆そう


そんなに冷たい顔してる?




仕方ない
だって、もう私の心は余程のことがないと動かないようになっちゃってるから。
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