Till when should I wait?
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「ほな、お仕事しに行こか」
双極の丘でルキアの処刑が始まる少し前、私はギンに連れられて四十六室に来ていた
本来なら席官程度である私が来られる場所ではないし、隊長であるギンだってそうだ
入って口うるさい賢者たちに見つかったらそれこそどんな罪に問われるか分からない
しかし、私の不安を他所にギンはズカズカと扉を開けて中に入っていく
戸惑いながらと後について行った私は中の様子を見た瞬間、目を見開いた
四十人の賢者と六人の裁判官が全員死んでいたのだ
「ギン…?何なのこれ」
恐る恐る問うてみるとギンはニヤッと笑って
「何でもええやん。それより、華に頼みたいことがあんねん」
疑問は残ったままだったが、それも後で聞けばいいと気にしないようにした
「今から十番隊長さんと、乱菊が来る。その二人をちょっとの間、ここから遠ざけといて欲しいねん」
「引きつけ役になれってこと?」
「あァ、そやね。その間にボクはここで仲良うお話せなあかん人がおるからなァ」
「…分かった」
「ほな、頼むな」
そう言うとギンは私の額にキスを落とし、四十六室の為の居住区域、清浄塔居林へと向かった
私もギンの頼むを果たすために、物陰に隠れ、二人が来るのを待つ
(誰と話すの…?ていうか、肝心なとこ何も教えられて無いじゃん…)
牢から出してもらった時、ギンについていくと決めた
しかし、私がギンに協力しようが、しよまいが、指示は出すものの肝心なところを教えてくれないのは大して前と変わっていなかった
不安にもなる
けど、今はそれでもついて行くしかない
暫くして、こちらに向かってくる二つの霊圧と双極の丘で始まった処刑の為の道具の霊圧を感じた
ルキアの命もあと僅か。
そう思っていると
「何だこれは…中央四十六室が、全滅…?!」
冬獅郎と乱菊の二人は辺りを見渡し、驚愕していた
「いらっしゃい、冬獅郎、乱菊」
そこへ私も姿を現し、声をかける
二人は声に気づいて勢いよく降り返り、私の姿を見て、更に驚く
「っ、どういうことだ…!」
冬獅郎は私を睨み、問うてきたが
「どういうことも何も、見たら分かるでしょ」
それだけ呟くと、私は彼らに背を向け四十六室を飛び出した
「待てっ!…追うぞ松本!!」
「はい!」