A

□Let Me Love You
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ガキの頃の恋愛話になんてキョーミねー。








騒ぐな喋るな、むしろ息するな、くらいの勢いのヤツに従って。
おじょーひんな紅茶を一口。
いつの間にこんな似合わねーモンいれれるようになった?
ちっこいおネーさんの携帯の電源はさっき切られてたけど、あたしのはそのまんま。
……あたしに連絡するって手も思いつかないくらいにあいつも慌ててんならこれまた愉快。

「…あいつの若い頃ってドんな?」

静かに、そう言われたまま、けど、沈黙が鬱陶しくて。
だけど、雑談のつもりの言葉にちっこい二人が笑うから、変なコトでも言った気分。

「…たぶん、変りませんよ。見掛けも中身も」
「気になるんだ」
「あたしはここで大声で色ンなじょーほー叫んでもマッたく問題ないンすけど?」

ニヤニヤするガキを沈黙させて。
女のシュミの悪いガキはそれでも外見はいいのを選びたがるから。
……それなら、このちっこいおネーさんにしときゃーいいんだよ、こいつは。

「お姉さん」
「ア?」
「これで、もし、ゆかりと上条さんが、その…」

言葉を切って、言うのを躊躇ったのはあたしの為じゃくなくテメエのため。
不安そうに、無神経で予測不可能なこの先に怖がってるみたいに。

「あー、ないないッ」

手をパタパタ振って、無神経なそれを追い払ったのは虚勢でもなンでもなく。

「今さら」

そう言ったのはさっき沈黙させた女のシュミの悪ぃガキ。
報復とばかりとニヤリと笑って、ンなのであたしに敵うとでもホンキでも思ってンすかね?

「槙さんが今さら柊さんと離婚するとは思いませんけどね」

………心底、腹が立つことに少しだけダメージをくらったのは絶対に口にはしたくないけど。












「後、ゆかりと夕歩も」
「……ありがとう」




『今更』より『今でも』の方が、あたしは。
なンであたしよりこのガキの方が無条件に信じてンだか…。














「誰が結婚してンだよ」
「ああ、籍は未だでしたね」
「……もー、いい」




  
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