【4】

□If you wanna be happy
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【If you wanna be happy】





はいはいはい、そこの彼女!
もし幸せになりたいならさ……








「結婚しよう」
「…は?」

うちのハニー、まいすいーとはーとの『は?』はなんて言うかですね…こー…胸にぐっさりと来るんですよねー。

「Marry you」
「そこは『me』じゃないの?」
「『結婚してください』じゃなくて『結婚したい』んです」
「…いいから話を戻しなさい」
「いや、話は全くそれてません」

二人の今後を考えて、二人の幸せを考えてたどり着いたのがそれ。
イチャつくのが苦手な彼女を後ろから抱きしめて、自分の胸にもたれかからせる。
頭のてっぺんにチューしたら『どこの外国人よ』と冷たく言われたので、今度は握った指先にチューを一つ。

「どっちでも変わらないわよ」

吐き出されたため息を染谷の後ろから見送って。
いやいやいや、するよね?
頭のてっぺんにチューとか、握った手にチューとか、でこにチューとか、べたにほっぺにチューとか、爪先にチューとか。
え?なに、これに『するか、アホか』って言う人はじゃあ局部にしかチューしない露骨な方達なんですね。
愛情を示すチューに照れなんて無用!!!!!
……あ、今度はほんとに話がそれた。

「まだ早いわよ」
「ん?」
「『ん?』じゃなくて、自分がふった話でしょう?」

抱きしめられたままこっちを振り返らないのは、その両手が落ち着きなく動くのはこういう体勢が苦手だから。
それでも、あたしの腕から逃げはしないからまた調子に乗って今度は頬にチューを一つ。

「…キス好きよね」
「キスも好きだけど本命は染谷です」

腕の中のサイコーにキュートな女の子が自分の恋人だ、って凄い話。
横顔に胸が締め付けられて息すら苦しいのにそれが幸せ。

「なんでいきなり結婚になったの?」

さっき馬鹿にした癖に自分だってあたしの手を握ってその指先にキスをくれる。
だからそのまま、キスされた指先で染谷の顎に触れて唇を引き寄せ愛情を示す行為へ。
唇を離して、それから染谷の質問に軽く首をかしげてみる。

「染谷の幸せを追求したらそうなったけど?」
「…それって凄い自惚れた台詞ってわかって言ってる?」

毎日毎朝毎晩毎分毎瞬、考えるのは染谷のことばかり。
そりゃー、こんだけ染谷のことばかり考えてたらおかしくもなる。

「あたしの自惚れだけですか?」

膝や胸や頬に感じる体温が幸せなのはあたしだけ?
んー、そうなら染谷の幸せのために他の手を考えなければ。

「『だけ』じゃないわよ」

もし幸せになりたいなら、幸せが欲しいなら。
今、抱きしめてるこの人の幸せはあたしが責任もって作ります。
だからさ、そこの彼女。

「じゃあ…」

幸せになりたいならあたしの隣にずっとずっといればいい。

「結婚しよう」

病める時も健やかなる時も。
あたしがあんたの幸せを保証しますから。












「…結婚してなくても今で十分幸せよ」









…うん。
言われてみればそれもその通りだね。

























「けど、染谷があたしの奥さんってあこがれる」
「『しない』とは言ってないでしょう?」





END
(13/01/09)

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