突発的大人パラレル

□混乱したら原則に従いましょう 
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【混乱したら原則に従いましょう】




『今日の夕飯はこれがいいな』
そう言うのと同じ口調で

「綾那の子供が欲しいな」

…………こう言われたらなんと返すべきなんだ?







「…………は?」
「今日は綾那の方が先に帰るから夕食当番、綾那だよ」
「ああ、うん……」

やっぱり夕飯の催促だったんだ、と納得して。
残ったコーヒーを飲み干して朝食を終わりにする。
うん、だよな。
いきなりそんな事を夕歩が言い始めるはず……。

「そろそろ作ってもいい頃だよね?」

…夕飯の話の続きだよな?
いや、夕飯を作ってもいい頃ってどんなんだよ?
とりあえず朝食で使った皿を洗いながら、身支度をしてる夕歩を眺める。
朝のこの時間、出勤前のこの時間。
馬鹿馬鹿しいことだと分かっているのに未だに落ち着かない。
これで夜まで夕歩に逢えない……なんて、一緒に暮らしだす前は考えた事もなかったのに。

「ねえ」
「ん?」
「綾那は男の子と女の子どっちがいい?」
「………………」

だから、一体、夕歩に、何が、あった????

「…夕歩に似てるならどっちでも」

……こう答えてる私も私だ。








『そうか、そうか。とうとう綾那と夕歩が子作り計画に!』
「ふざけんな、お前か!夕歩に変なこと吹き込んだの!!」
『あたしじゃないし!』

仕事の合間を盗んで、原因とおぼしきヤツを問い詰めるが電話越しじゃどれだけ睨んでも届きはしない。
だいたい、子作りって生物的に無理だ。

「じゃ、なんでいきなりあんな事……」
『子作りって言うより、子供を作る作業の方をしたいんじゃないの?』
「今、目の前に貴様がいたら殴り倒してるところだ」
『いいじゃないの。こう、新しい風を巻き起こして昔の情熱を…!的な』
「殺す」
『あ、図星なんだ。最近低迷ぎみなんですね、無道さん』
「作れるなら今頃出来てるくらいにはしてる」
『…………それはそれでなんか嫌なこと聞いちゃった気がする』
「何なんだ、何が望みなんだ、夕歩は?」
『いや、あんたの彼女のことあたしに聞かれても』
「自分でわからんからあんたに尋ねてるんだろうが!」
『威張んないでよ!』

はあ…っ
大きくため息を吐いて。
本人にどういうつもりなのか尋ねれば良かった、と今更の後悔。
だって、あれが本気だったら私は一体なんて答えればいいんだ?

『まあ、とりあえず一言』
「あ?」

付き合いの長さや夕歩の気持ちをくみ取る技術に対してはこいつの方が上だから。
悔しいけど大人しく助言を待つ。

『今夜はゴム付けずに生でヤッちゃえばいいんすよ』
「お前は次に会った時、殺す!!!」

くそ、こいつに期待した私が馬鹿だった!

   
  
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