突発的大人パラレル

□死ぬまでにしたい10のコト
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【死ぬまでにしたい10のコト】





せっかくだから
覚えたての新しいお遊びを堪能させてもらいましょう




「変態」
「えー、そう?死ぬまでにはしたい10のコトの1つを染谷で済まさせてもらおうと思ってるだけじゃん」
「ちなみに他にどんなのがあるの?」
「スカヨハとヤりたいとか?」
「死んでも叶わないじゃない、それ」
「だってさ、彼女にお願いしてひかれたらイヤじゃん」
「だから、私ですませるわけね」
「染谷のも付き合ってあげるから」
「間に合ってるわよ」


ひそひそと小声で会話してるのはベッドの中で甘い会話だから……って、わけじゃなく。
現在、あたし達がいるのは夜の公園、人気のない木陰だったりします。
んで、今、あたしは染谷にブラのホック外して怒られてるところ。

「ちょっと、はずさなくても出来るでしょ?」
「揉みにくいじゃん」
「寒いからさっさと終わらせて」
「そうは言うけど、あんたまだ濡れてないじゃん!」
「付き合うのは付き合うけど。出来るとき限らないでしょ」

どっちからそういう話になったのかは忘れたけど。
…んー、ああ、そうか。
最初は一番凄いのはどこでヤッたかって話からだったんだ。
(話してみてあたしの方が意外に保守的なことを知りました。つかね、ベッド以外でするのがあんま好きじゃない)
それで聞かれたんだった。

−どこか希望無いの?

……って。
そして、今のこの夜の公園に辿り着くわけですよ。




「夏だったら蚊にさされまくりだね、これ」
「冬でも凍死の危険があるわよ」
「だから、脱がさないでポイントだけにしてんじゃん」

自分で提案した癖に正直もういいや!って気になってた。
見られて興奮する趣味も無いし、ホテル代の無い小学生でもあるまいしなんでこんな所でコトを起こそうと思ったのか?

「……くそー、こんなことならテーブルの上の食器とかガッシャンガッシャン落としてその上に押し倒してヤりたいとか言えばよかった」
「ブラックダリア?」
「よくわかったね」
「さっきスカヨハがどうこう言ってたから」

軽いキスを繰り返しながら、染谷の下着に手を入れても濡れる気配が無くて。
うーん、試してみたいとは言ったけどさ……………楽しくない。
服の隙間から両腕を突っ込んで、染谷のブラのホックをとめてあげる。

「止める?」
「…止めよっか」

うん、おっけー、感じはわかった。
…うん、間違っても好きな人相手にヤろうとは思わないや、これ。









「今日はその気じゃないなら言ってよ」
「なに?」
「いや、さっきその気じゃ無さそうだったから」

場所を移して。
どっちの部屋にするか話した後、染谷の部屋の方が近かったから染谷の部屋へ。

「その気じゃないって言うか。もうあんな所で出来るほど若くないのね、って実感しただけよ」
「染谷、その年齢を感じる台詞は止めようよ」

まだまだ、いける。
まだまだ、若い。
大丈夫だ、あたしは!……たぶん。

「それにその気に全くならないなら最初からお断りしてるわよ」
「ほどほどにはムラムラしてんすね。んで、そっちのお望みは?」

さっさとベッドに行ってもいいけど、一応ご要望くらい聞かないと。
こっちにだけ付き合ってもらうのは悪いし。

「私は普通が一番好きなんだけど」
「この前縛った時はわりと好きそうだった」
「あれも毎回だとマンネリするわよね」
「それは言わない約束だよ、染谷さん…」

『まあ、いっか』って服を脱げばなぜか染谷に止められる。

「シャワーだけ浴びてくるから待ってて」
「んじゃ、一緒はいる?」

………まあね、余計な提案をするんじゃなかったと後悔するのはこの48分後。




「あ゛ーっ…………」
「……シャワーでのぼせる人なんて初めてよ」

呆れた声にソファーに転がったまま、片目を開ければこれまた呆れた顔が目に入る。
差し出されたミネラルウォーターのボトルを受けとる気力もなくてまた目を閉じる。
なんだろ……、頭ふらふらする。
あれー?途中までは良い感じに染谷の胸に吸いついてた気がすんだけどなー。

「……そう言えば昔、温泉でヤッて同じ状態になったことがある」
「それで学ばなかったのね、あなたは」
「いや、その時は若かったからおねえたま相手に興奮しすぎて鼻血出してぶっ倒れたんだと思ってた」

あの細腕であたしを抱えて部屋までつれて帰ってくれたんだから、あのおねえたまは凄かった。
ちなみに今回はバスルームから自分ではってここまで来たけど。
ごすん、と。
額の上に冷たいミネラルウォーターのボトルが落とされたから、そのまま首元に転がして体を冷やす。
かしゅ、って。
プルタブを開ける音がしたから目を開けたら隣でビールを飲んでる友人の姿。

「………あたしもビールが良かった」
「水飲む元気も無いのに?」
「そこで飲ましてくれるのが優しさでしょ?」
「もう」

不服そうにビールを置いて水を口に含むから。
口移しですか?とか聞く前に重なった唇からビール風味の水が流し込まれる。

「……そういや死ぬまでにしたい10のコト」
「なに?」
「テーブルの上でってヤッたことあった」
「スカーレット・ヨハンソンと?」
「同じくらい魅力的なおねえたまと」
「あー、あの人?」

聞きながらまた水を流し込むから返事は出来なくて。
だけど、聞かなくてもそこら辺のことは知ってるだろうし。
水を飲ました後、なかなか唇が離れないから。
舌先でくすぐると同じように返ってくる。

「………ね」
「んあー?」
「早く回復して」
「何で?」
「弱ってる貴方見てたらそそられたから」
「染谷のドえすー」
「…そうかも」

もう一度、口移しで水をもらって。
そう言えば尋ねてみたこと無かったな、とか。
気付いたけど、もう起き上がって染谷を抱き締めた後だったから口にはしない。

『染谷が死ぬまでにしたい10のコト』ってなに?

聞いて貢献できるならしてあげたいけど。
それが『友達』の範疇から出るならあたしには貢献出来ないし。
だって、それはあたしも同じだから。
せっかく忘れてた人を頭から振り払って大事な友人を抱き締めた。
今はこの割り切った関係で満足してる………はずだから。



















リストの最後の一つは、きっと、ずっと叶わないんだよね






END
(12/06/08)

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