突発的大人パラレル

□Big Girls Don't Cry
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【Big Girls Don't Cry】




…いい女は泣かないの









「はー……」
「……何よ、その気の抜けた声」

行為の最中の小休止。
腕が疲れてきたのか、指が痺れてきたのか動きを止めて。
人の顔を見下ろして、出された声に思わず眉間に皺がよる。
(中途半端で止められたのもあるけど)

「いやー、あんた綺麗だなー、と思って」

にへら、と笑って、まるで何かの確認みたいに言うから。
呆れるべきか、怒るべきか、それとも礼を言うべきか分からなくなった。
行為の真っ最中、まだ人の中に入ったまま世間話をするように言うことじゃないはず。

「…ありがとう」

とりあえず口にしたのはお礼。
その間にも折角集まった熱が逃げていくのがもどかしくて。

「それより、続きして」
「あー、はいはい」
「っ……!」

グッ、と。
前置きもなくいきなり一番奥まで押し込んでくるから、喉の奥からひりついた息が押し出される。
意識せずに順の背中に爪をたてて、薄く目を開けば頭の後ろに回された手が唇を引き寄せるから、その動きに合わせて……。

「……な、んでまだ…笑ってるのよ?」

キスをする瞬間、唇が重なる瞬間、その唇が苦笑の形をしていて重なる前に問い掛ける。

「いや…」

視線は真っ直ぐに私の瞳をとらえて。
この人はこういう時には目を逸らさないから…。

「自分の友達が最高にいい女なのが誇らしくて」
「…馬鹿」

…その台詞が本気なのが心から腹立たしいのよ。








―無性にセックスしたくなるときない?首を鳴らしたくなるみたいに


言った言葉は嘘じゃない。
首を鳴らしてすっきりする時みたいに、無性にしたくなる時がある。
嘘は言ってない。
言ってないけど………、別の事も言ってない。
本当はもう一言。

―仕事してる時の貴方を見てると無性にセックスしたくなるの

その細くてしなやかな指を見てると思うの。



指だけじゃなくて。
そこから先の手首から二の腕にかけてのラインが綺麗、とか。
真剣に考え込んでいる時はいつもの笑みが消えて引き締まった頬がセクシー、とか。
唇に指で触れる仕草に見惚れた後、自分も触れてみたくなる。
指と唇の両方に。


……一度、抱かれたら満たされると思ってたのに。
逆にもっと渇望することになるなんて。

  
 
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