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□Sunday morning
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【Sunday morning】





サイズも色も形もこだわりは無いけれど。








…むしろ、あったら困る。
どっかの淫魔なら自分好みの理想があるんだろうけど。
(あいつはだけど「染谷のがパーフェクト!」なんていい笑顔で言い放ちそう)
(「これ、いいよ」と渡されたグミに何が良いか聞いてみたら「舌で転がすと硬くなってるのと同じ感触がする」と言われてそれ以来ゆかりを思いだしてしまってそのグミを食べられなくなったのはまた別の話で)
(もちろん「気持ち悪いわっ!」と手加減なしで殴り倒した)
そこだけに着目する性癖も無いし、そこだけが好きな訳でもない。
(だって、それを言ったらあの子のとはサイズが全然違う)
(……思い出してちょっと死にたくなった)

「お預けタイムにもずいぶん慣れました」

祈さんの部屋に行くのにはなぜか抵抗があって。
(死にたい気分になったのと、たぶん同じ理由)
2人きりになりたいだけなら、人気の少ない学園の端っこでも逢引には問題が無いけれど。
『何か』するなら、外でするには不向きなこともある。
無道さんの匂いー、なんて言いながら人のベッドにダイブする人にも慣れてきたけれど。
この人の帰った後にベッドに残る匂いには慣れなくて。

「付き合い始めの2人に『慣れ』なんてマンネリの第一歩よ」
「マンネリになるにはまだまだ刺激が強すぎますよ」
「足りなくなったら言って。何でも買うから」
「…何を買う気ですか?」
「スタンガンとか」
「どんな刺激を与えるつもりですか、貴方は」

ベッドの上に引き倒されて、だけど、逃げようにもがっちりと人の腕を枕にしてくつろいでいる人の方は見ずに。
……見れない、の方が正解ならまだまだ『慣れ』には到底行きつかない。

「祈さん」
「なに?」

唇が濡れてるのは今までキスして所為で、気持ちよさげに閉じられた瞳の睫も近くて。
近くて近くて。
……つまり、まあ、その、あれです、あたってます。

「無道さん、いやらしいコト考えてる目してる」
「今、必死に萎えること考えてますが」
「玲のチュチュ姿とか?」
「いや、ある意味それは燃える人には燃えるんじゃ」

笑うと同時に揺れるそれがまたあたって。
笑う瞳から少しだけ視線を下に視線をずらせば見える渓谷に飲み込んだ唾が粘っこくて自分でも嫌になる。

「んー、じゃあこういうこと想像してみたら?」

釘付けになったまま離れたがらない視線をやっとの思いでずらして見つめる瞳は何時も笑ってるから。

「どんな事です?」
「私のブラ外してる姿」
「ぅぐっ!」
「…反応が思いっきりボディブローされた人みたいなのは何でかなー?」
「今、心から、男じゃなくて良かった……って思ってます」

Stand up!なんて、順あたりならサラッと冗談にしそうだけど。

「フロントじゃないけどいい?外しにくいなら今度はそうするわ」
「いや、その情報いりませんから。本当にいりませんから」
「だって色は教えなくても見えてるでしょう?」
「自覚があるならそこが見えないような服を着てくださいよっ!」
「えーっ、無道さんピンク嫌いなの?」
「ピンクって!いや、もう、違う部分がピンクなの想像しちゃったじゃないですかぁっ!!」
「無道さん、えっちー、むっつりー」
「想像させてるのは誰ですか……」

敵う気がしないのは前からで。
だけど、ほら、また擦り寄ってくるから慌てて腰をひいて。
今するキスは危険な気がして逃げれば人の顎に唇を押し付けてくるから。
結局、負けてキスする羽目になる。
(もちろん、したいに決まってるけど)

「……触る?」
「触りませんし、揉みません」
「『揉む』まで言ってないわよ」
「結果的にはそうなるはずです」
「そうね」

幸せな事に……いや、不幸な事にか?
この右手はその柔らかさや感触を知ってしまってるから。
(サイズもだから見た目とそれでまあ……標準よりもあるのは分かるよな)
そこで窒息したい、なんて偉い人も言ってるけれど、この人のは窒息するには十分な深さも密度もありそうで。
…………ああ、なんか、本当にそこでなら窒息してもいい気がしてきた。

「じゃあ、もぎ取るように玩ぶ?」
「どんな表現ですか、それ!玩ぶって………も、玩ぶ……」

………はい、すたんだっぷ。

「もう、帰ってください!今すぐ!」








悩ましすぎるそれに頭悩ませて。
めくるめく時間なんて、お願いだから、考えさせないでください。











……本当はそれに触れたいに決まってるでしょう。











「んー、じゃあ…」
「祈さんが私のを揉むのも無しです」
「えー、何で言おうとしたこと分かったの?」
「そのくらい読めますよ」
「じゃあ……」
「な、な、な、な、な!?」
「『何してるか?』って?無道さんのためにお土産にブラ置いて行ってあげようと思って」
「い、り、ま、せ、ん!持って帰ってください、て言うか、それ見えないようにしまって!」
「使っていいのよ」
「……どういう意味の『使う』ですか、それ」





END
(14/06/12)

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