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□Did U miss me.
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【Did U miss me.】
眠れない夜の睡眠導入剤代わりに。
ゴロンと、ベッドの中で転がって。
耳を澄まして聞こえる寝息と時折混じる小さないびきに同室者の熟睡ぶりを探って。
（『意外に寝息は可愛いですよね』なんて言ったら本気で殴られたけど）
「んー…」
唸るだけ唸って、それでも寝息もいびきも変らないのをもう一度確認して。
同室者が恋人だったら、愛しい愛しいあのハニーだったらこんな事を考えなくても良かったのかも、なんて考えて。
だけど、もしあの愛しいハニーと同室なんて擬似同棲に舞い上がった後に幸福すぎて窒息するであろう事も。
距離が近すぎてしまえば喧嘩の種が増える事も。
（うちのハニーは頑固で真っ直ぐすぎる）
（でもね、そこが一番好きだったりするんです）
まあ、グジグジ言ってるけど、あれですよ、ムラムラした時にそこにハニーがいたらいいなー、とか。
……いや、発情してるから抱きしめたいとかそんな浅はかな久我順じゃないけどさ。
いや、うん、ごめんなさい、がるるッ！って噛み付いて（あくまでイメージ）愛しい染谷さんに鉄拳制裁（こっちはイメージじゃない）くらってイツでもドコでもゴー！って訳でも無いんだけど。
（その癖、あの人は自分が、がるるっ！てなってる時はイツでもドコでもあたしに噛み付いてくる）
（がっつり首筋に噛み付かれて喜んでるあたしもあたしだけど）
こんな夜は仕方ない、ってまあ、ほら、あたし二刀流だったし、究極の天地の一人上手！とか言われてたし。
……喋りすぎだね、あたし。
何時でも言われてますけどね、あの人に。
あなた、何時まで喋ってるのよ、って顔押し返されて呆れた顔で見上げられるの結構好き。
てか、何でも好き。
その好きな彼女のやり方を思い出してみて……違う、ヤり方？
「…っ」
染谷の方が手が小さいから、自分の手じゃ感覚が全く違って。
あー、違う、たぶん、違う。
手のサイズとか関係なく、『染谷の』じゃない手や指じゃ感じない。
……って、いや、処理的にはしてますけど。
枕の下にある寝る前に読んでた御本の内容すら浮かばずに、こういう時に浮かぶのは彼女の顔で声で感触で。
がるるッ！ってなってる時はあんなに簡単に濡れ濡れになるそこがこういう時には全く濡れなくて。
隣で寝てる同室者を叩き起こして『ちょっと、ローション貸してもらえます？』って言いたくなる。
（たぶん、真っ赤になった後に染谷のより強力な鉄拳が飛んでくるんだろうけど）
…染谷もこんな夜あんのかな？
って、そうしてる染谷とか想像しただけで今ちょっとローション借りなくていい状態にはなったけど。
いくら恋人同士でも聞かないのがエチケットってもん。
あたしだって聞かれたら『週に三回。月・水・金にしてます。あ、染谷とした日は行ってません』とか答えられないし。
「っん…」
声を殺して、漏れる息は枕で誤魔化して。
それでもポイントは分かってるから、後はただゴールを目指して淡々と進むだけ。
（染谷のさ、爪ってあんまり短く切りそろえられてなくてさ。時々、中をガリっとやられるあれでさえ、あたしにはゾクゾクして）
ああ…、うん、尋ねられたら困る。
ちょっとS入った染谷さんに『どうやってしてるの？』なんて問い詰められてる姿を想像するだけでがっつり締め付けてくんだからあたしの体ってほんとに正直。
（うん、でも、染谷ってベッドの中では意外にMだけどね）
もし、聞かれたら。
染谷にそう聞かれたら、さすがのあたしだって答えるのに抵抗がある。
― 最後の瞬間には絶対にあんたの顔を思い浮かべてる
……なんて、恥ずかしすぎない？
あんたが側にいなくて淋しい、ってそのくらいの真実ならあっさり言えるけど。
― Did you miss me？
そう尋ねたら、あんたはどう答えてくれるんだろう。
END？
(14/06/24)