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□Something that I want
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【Something that I want】




問い掛けてみたの

『あなたの欲しいものって何?』



もちろん物欲じゃなく、比喩的な意味での質問。
『シャンプー切れてるから買ってきて』なんて言われても困る。
(この人なら言いかねない。むしろ、もっといかがわしいものを強請られそうな気がする)

「欲しいもの?」
「服が欲しいとか、靴が欲しいとかじゃなくて……」
「あー、質問の意味は理解した」

軽く片手をあげて了解の意味を示して。
しばしの沈黙・・・・・。

「……どっかの誰かさんなら『星』とか言いそうなんだけど」

首をかしげて、口にした答えには納得してない様子。

「あなたは欲しくないの?」
「欲しくないと言えば嘘になる。だけど、質問の意味にはそぐわない気がして」

もう一度、軽く首をかしげて両手の手の平をあげてみせる。
いつものオーバー気味なジェスチャー。

「あ、キュートでホットな恋人とか?」

今度は上げていた両手の平をおろして、手の平をぽんと叩く。

「……真剣に答えてる?」
「うん、わりと本気」

ぴくりと、こめかみが引きつった気がしたのはふざけるこの人に対してなのか。
それとも、それが本気であるこの人の性質に対してなのか。

「だってさ、キュートでホットな恋人がいて。キスしてすることして、そんで『好き』って言って『好き』って言ってもらえればそれで良くない?」

良くないわよ。
反射的に心の中で返事をして………それを自分で置き換えてみたりはしてない。
………少しだけ想像してみたりはしたけど。
だけど、感じたのは『恋人』と言うほんわりとしたものではなくぺらぺらの薄っぺらいもの。
まるで窓から空想の世界を眺めてるみたいに。
映画のスクリーンを観てるみたいに客観的にそれを眺めてる。

「ずいぶん、軽い感じの関係ね」
「ライトな関係だね」
「Rightな関係?」
「うわぁ………なんか急激に重い関係になった」

そんな軽い関係を望む人には見えない。
実際、夕歩に対する愛情は熱さを通り越して鬱陶しいものがある。

「でも、それ以上になに望むの?恋人なんてそんなもんでしょ?」
「その偏った考えはどこから来るのよ?夕歩相手にそれでいいの?」

言ってしまって、自分の口調が強いことや夕歩の名を出してしまったことを後悔した。
これじゃ『あなたと夕歩の関係に嫉妬してます』と宣言してるみたい。

「夕歩?」

またかしげられる首。
それと困ったような苦笑い。
その後にいつもの嫉妬したくなるくらいのデレデレで愛情いっぱいの顔で笑う。

「夕歩はもちろん愛してるよ。だけど恋人じゃないし」

今はまだ?
これからそうなる気はあるの?
口に出しかけて今度はちゃんと飲み込んだ。
それは今の私が口にすることじゃない。
  
  
   
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