【3】

□shag
1ページ/1ページ



【shag】



その日は朝からなんだかとってもおかしな感じだったのです。





「んぁー……」

そう、なんだかとても体が熱くて。
まず最初に風邪をひいたのかな?なんて思いました。
だけど、医務室で熱を測ってもらっても熱はありません。
風邪の症状も無いから、風邪じゃないだろう、と言われました。
この医務室はアルコールの匂いが甘いと思ったらどうもキャプテンの匂いみたいでした。
鼻が匂いに敏感になっているのか通りすがりの女の子の香りも強く強く感じます。
うちの麗しの姫なんてたまりません。
何がって、とにかく大変なんです。
危うく増田ちゃんや綾那と繋がってしまう所でした。
それよりも何よりも、一番たまらないのはもちろんこの人でした。




「………いきなり、何?」
「…染谷、いい匂いがする」

床に広がった髪と首筋の香りを嗅いで。
うあー、ごめんなさい、もう、無理!
ぷっつん、何かが一本イッた感じ。
血管の中の酸素が全部はじけてく感じ。
こー、ガーーーッ!と炭酸水が血管流れるみたいな。

「んっ……!ちょっ!順!!」
「んー、すぐ終わる。3分で終わる」
「そんな事言ってるんじゃ……って、ちょっ…!ん……っ」
「ああ、ヤバいマジチューだけでイけそう……」
「…っ!!なに発情してるのよ!!!」

ガツン!と。
頭頂部にきた衝撃はしばしあたしの脳みそをフリーズさせた。
……おおぅ。

「なに?今日の貴方、なんなの???」

あたしから慌てて離れて、急いで乱れた制服を整えるから。
その乱れ制服もたまんない、ってか服着てても全裸でも染谷はとにかくセクシー!
むしろ網タイツのバニーとかビキニとかメイド服とかナース服とか!
何でもいい!!
もうとにかく染谷なら何でもいい!!
けど、シンプルに生乳にタンクトップ一枚とかも燃えるよ!!!!

「…普段通りだけど?」
「違う、絶対に違うわよ」
「違わないって。だから、ヤラせて」
「そこがおかしいのよ!」

いや、これあたしの通常営業だよ。
365日24時間フル営業中!!
何でって店長、今日は染谷が安いんです!
ええーい、他の奴に食わせてたまるかー!!
生乳タンクトップはあたしだけのものだ!!!

「順序ってものがあるでしょう!そんな言い方するし!!」
「だって、ヤリたい」
「だーかーら!」

怒る染谷も美味しそう。
舌なめずりするとなぜか引きつった顔して刀抜いちゃうから。
いやいや、そんな、それちょっとヤりすぎじゃないっすかねー?
んー…………。

「……染谷」

少しだけ顔を引き締めて。
ガバッ!と飛びかかりたいのを我慢してソッと近寄る。

「…何よ」

警戒しながらも攻撃はされない。
大きく唾を飲み込んで、だけどそれがバレないように息を止めて。
その瞳を見つめると険しかった表情が緩むから。
抜いた刀を取り上げて、ゆっくりゆっくり顔を近づける。
……はい、ここまでが我慢の限界!

「染谷ぁぁー!!!」
「騙されると思ったら大間違いよ!」

ガツン!、と。
今度の衝撃は額に直撃した。
……くっそ、鞘も取っておけば良かった。








「んあー……」

目を開けたのになぜか辺りは暗いままでした。
手で目をこすってみようとして、なぜか背中の後ろから手が動かないことに気付きました。
これはどうしたことでしょう?

………って。


「手錠に目隠しってどゆこと?」

あと、このしゃべり方めんどくさいし、うざいんすけど?

「貴方のコレクションが役立つとは思わなかったわよ…」
「染谷?なに、これ?何のプレイ?」
「貴方の質の悪い所はこれが異常なのか通常営業なのか判断つかない所よね」
「染谷の乳吸いたい」
「………夕歩呼ぶわよ」
「夕歩と3P!それならもう綾那も呼んじゃえ!」
「……やっぱり、おかしいわね」

顎をひんやりとして硬いもので持ち上げられる。
たぶん、刀の鞘。

「道具なんて染谷やらしー」
「お酒でも飲んだ?」
「飲んでないよ。通常営業で染谷とヤりたいだけ」
「……だから、その言い方止めて」

ほんとに嫌そうに言うから、なんか不服。
けど、そんな声もゾクゾクします!
もうね、全てを見せて欲しくなるよね、そんな声出されると。
主に見たいのはパンツの中ですけど!!!
襲いかかろうとしたのに、手首がガッチリと手錠で拘束中。
くそー!この状況でどうやってヤれと!!??

「……あ、舌と唇で頑張ればいいんすかね?」

返事は無くて。
だけど、代わりに首筋に冷たい指が触れる。

「…熱は無いみたいね」
「局所はとことん熱いですけどね」

はむっ、と。
帰ろうとする指を口で捕まえて、舌先でなぞる。
ぺちゃぺちゃ、舐めて甘く歯をたてる。

「……貴方、今凄い絵になってるわよ」
「ははっ、エロい?」

返事は無かったけど、指は逃げなかったから隅から隅まで届く範囲に舌をはわせる。

「……染谷、甘っ」
「……何か変なモノ食べた?」
「朝、冷蔵庫のチョコ食べたっきり。今はとにかく染谷を食べたい」
「……………してもいいけど」

お!マジ!?
ガルルっ!と身を乗り出したら手首に手錠がくい込むけど気にしない。
つか、それすら気持ちいいんすけど、今!
………………お?

「……あたし、なんか発情してる?」
「正気に戻ったの?」
「いや、正直本気で局所が熱いしあんたとヤリたくて仕方ない」

…また、甘い甘い香り。
染谷の匂い。

「…っ!」
「…ちょっと、人がキスしようとするのに何で顔そむけるのよ?」
「いや、やばいから!今マジでやばいから!!」
「したいの?したくないの?」
「ヤりたいけど、今ヤッたら絶対後悔しそうだからヤダ!!だって、なんかおかしいもん!」
「…したら、すっきりするんじゃない?」
「そういう問題じゃ……って、ちょっ!待った!染谷さん待った!そんな所触っちゃダメだってば!!」
「いいからジッとして」
「って、いや、なんかあんたも熱いんすけど!いやん、染谷も発情期!?」
「いいから黙ってて」
「ちょっ、そめっ……ん…」









終わった後に染谷さんはこう言ってました。

−とにかく、声が大きくてうるさかった

出させたのは染谷さんなのに。
だけど、反論は出来ませんでした。
確かにその後、体がすっきりして軽くなったからです。
手首には丸く青い痣。
首筋と肩にはくっきりと歯形が残りました。
なんだかんだ言いながら染谷さんも興奮しまくったみたいで大変でした。
これが今回のお話です。






………なんだろう、結局美味しかったけど。
美味しかったけど、なんか不服なのは。



















「…無道さん、この間あげたチョコレート食べた?」
「ああ、あれですね」
「どうかした?」
「あの淫魔が朝、全部食べやがったんですよ。人に断りもなく」
「……今日、久我さんは?」
「その後なんか風邪ひいたみたいだとか言って医務室に行ってましたけど」
「あー………」







END
(12/04/30)

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ