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□16巻197Pの久我にきゅんきゅんしすぎて辛いから、きっと染谷さんもコレを見たら襲いかかるに違いないと思った
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【16巻197Pの久我にきゅんきゅんしすぎて辛いから、きっと染谷さんもコレを見たら襲いかかるに違いないと思った】



コンコン

「開いてるー」

ノックの後に返事を返して、頬杖を付いていた顔を上げる。
この時間くらいならきっと……。
開くドア。
その先に居たのは予想通り、マイセクシーベイベー
………んー?
だけど、なぜかそのまま硬直してるから。

「…どしたの?染谷」

きっかり48秒待った後に問いかけた。









「………綾那」
「はい」

いや、あんた名前呼ばれただけだけど?
急いでまだドアの所に立ったままの人の恋人を大きく鵜飼い……じゃなくて迂回(変換おかしい)して部屋を出て行く背中を見送る。
…なんだろね?あれ。
そんなんじゃ、あまりの情けなさに全国の無道綾那ファンが大喜びだよ!
(いや、そんなコアなファンて一部だけ?)
まーね、染谷に調教されるのはあたしだけで充分!……って言ってもその面に関しては綾那の方が先輩か。
うわー、染谷に調教されるとかエロエロだね!

「どしたの?」

そんなコト考えてます、とは顔には出さず(後で下半身には出すかも知れないけど)胡坐をかいたまま、染谷を見上げてもう1回同じ質問。
なんかちょっとその硬直して切羽詰った顔で見下ろしてくんの怖いから止めないかな。
心臓がドッキドッキだから!
この前、健康診断であたし不整脈で引っかかったから!
(ん?この動悸って純粋に病気?)
救心を一気呑みしてとりあえず原因を考えるけど……どれだ?
思い当たりすぎてどれかわかんないんすけど!!

「…今日、髪あげてるのね」
「ん?ああ、暑かったから。たまにしてるでしょ?」

お、やっと喋った。(綾那呼んだのは別として)
だけど、まだドアの所に染谷は立ったままだから首をかしげる。
いや、そう珍しいもんでも……ないかなぁ……、とか。
頭の後ろで縛った髪に触れて。
うん、そう言われれば染谷の前ではそんなにしてないかも?とか。
………………だけど、そこまでこう隅から隅まで舐めるように見つめられなければならないんでしょうか?
(きっと視姦てこんな感じだよね!)

バタン!

おーっと…。
後ろ手で閉められるドア。
もっと静かに閉めなさい、とか何時も言われてるのはあたしの方なんだけど。

「……そ、染谷さん?」

あたしの方……なんだけど…。
まず、がつん!と来たのは甘い染谷の匂い。
嗅ぐだけで脳みそ麻痺させてくれるやばい薬みたいな女の子の匂い。
(いや、女の子って言ったけど相手は染谷限定)
(……訂正、夕歩も含む!)
もう脳みそに染み込んでて、きっと匂いだけでもこの人を判別できるくらいに。
(あたし、自信ある!警察犬みたいに匂いだけで染谷を見つけられる自信ある!!)

「……どしたの?」

3回目の質問にも答えは無し。
同じ質問を何度も繰り返すのは答えてくれないから。
……なんて言うか、ちょっと、マジでどうしたの?染谷さん。

「そーめーや」

名前を呼んで。
質問の答えは口にされなくても染谷の瞳だけで予想出来るけど。
(瞳は唇よりも多弁、ってね)
(ちなみに唇は好きなパーツ、ナンバー1だったりする)
膝の上に来るかと思ったけど、膝をついたのはあたしの膝から拳一つくらい開けたところ。
目線の上にある染谷の唇を見つめて。
その上の視線を捕まえて。
(おぉー…う)
細い指先が頬に触れるから反射的に目を瞑ったけど、指先は頬を撫でるだけ。
(これはちょっと……ヤバい)
首筋に何度も軽い軽いキスを繰り返しては鼻先であたしの頬を撫でるだけ。
(ちゃんと唇にキスしようよ)
……もどかしくて、物足りなくて、我慢出来なくて。
染谷の顎に手を添えて自分から唇を奪った。

「…どうしてうちの人は『待て』が出来ないのかしら?」
「それはですね、しつけ方を間違えたからですよ」
「今度、夕歩に抗議しておくわ」
「性的なしつけは染谷さん担当ですよ」
「何でそうなるのよ?」
「だって…」

手の平であたしの頬を包み込んで柔らかくさすりながら、親指で唇をなぞって。
そのさ、直接的なコトにすぐにイかない所も焦らしテクだよね。
こっちはその瞳に見つめられてるだけで蕩けそうだってのに…。
(一部分はもう蕩けてたりします)
……けど、まあ、知ってるんですけどね。
あたし、知ってたりします。

「だって……今すぐ押し倒したいって顔してるよ、染谷さん」

この人、欲情してる時にはなぜか怒ったみたいな仏頂面になること。
冗談ぽく軽ーく軽く言おうとしたのに失敗したのが分かったのは少しだけ眉があがったから。
あー……、それマジで思ってたんすね。

「押し倒しはしないけど…」

ぴりぴり、って言うか指先の痺れる感触に大きく唾を飲み込んで。
とん、と肩を押されて大人しく床に仰向けに。
(確かに『押し倒して』はない)
人の顔を見ながらのし掛かって来る染谷の顔を見上げて。
手を伸ばそうとして……止める。

「襲いかかりたい気分ではあるわね」

今度は焦らしはせずに熱いキスをくれるから、首の後ろに腕を回してそれに溺れる。
(うん、そんなコトだとは思いました)
溺死しそうなキスの合間に人の顔を見下ろして意味深に笑うから乱れさせられた息のまま首をかしげる。

「…染谷、発情期?」

返事は無くて、またまた唇を塞がれた上に別の作業に移るから口を開く暇も無い。
(別の意味では大きな声は出してましたけど)

「……美味しそうな貴方が悪いのよ」

それでも小さく囁かれた声は聞こえたから。
(『美味しそう』とか何、それ?)

「…美味しく頂いちゃってください」



あぁー、もう、あのね………。





(あんたが調理する前にもう出来上がってます、とはさすがに言えない!)























「美味しかったわぁ…………」
「あのさ…、そのしみじみ言うの止めてくれない?」



END
(12/07/13)

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