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□『マテ』が出来ない人達
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CASE2:斗南さんと上条さん







…偶にこのオンナの中には『0』か『100』しかねぇんじゃないかと思う。






時速360キロで突っ走ってコーナーを曲がりきれずにクラッシュするのを連想した後に。
このオンナのギアチェンジがうまくなったのは、何だか嬉しいだけの感情じゃなくて。
それでも今でも、どんな風に扱えば上手に走るってくれんのか掴めないまま。

「…………で?」

今のコレはたぶん『100』のはず……だったんだと思う。
ノリノリで『えいっ!』なんて言いながら人をベッドに押し倒したまではたぶん『100』。
(なんだか間の抜けた掛け声とは裏腹に押し倒し方は強引な上に下手クソで腰が痛む)

「ちょっ、ちょっと待って。心の準備がもう出来るからっ!」

…人を押し倒す前に心の準備も体の準備も終わらせてとけってーの。




だいたい、ベッドの上に押し倒して人の腰の上に(だから、いてぇンだよ、そこは!)乗っておいて『マテ』は無いだろ。
握った拳で口を押さえてなんだかぶつぶつ言ってる言葉は『I can Fly』じみた自己啓発らしきモンで。
(屋上から飛び出すコイツの足首掴んで引きずり戻す役なんてあたしはゴメンだ)
エンジンオフならそれはそれで『0』で突っ走られる心配も無く。
偶には押し倒されてんのもいいんじゃね?なんて放置した結果がこの放置プレイなら損してんのはあたしばっか。

「なァ、上条サンよ…」

体を起こして、口元を押さえてる拳に唇を押し付ければ赤かった耳と頬がさらに真っ赤になって。
…これにムラッとしてエンジンフルスロット、『120』にならないならソイツの生殖器は干からびてる。

「ま、待って…!」

だけど、拳の後ろのモンにキスしようとすりゃー肩を押し返されて肩透かし。
……放置プレイをまだ続けンのかよ。
イラついて、だけど、癪だけど止まったのは……。

「き、今日は私がするから少しだけ待って」
「…慣れねーコトはしない方がいいんじゃないスカー?」

真っ赤になったまま人の腰に乗って人の肩をギュッと握って吐息のかかる距離にその唇さらしておいて。
それでも待ったのは……




「愛されてばかりじゃ悪いから、今日は私に愛させて……」







息が詰まったのは、ちゃんとこいつの希望通りに待ったのは、甘すぎる言葉に吐きそうになったからだ。





……て、コトにしといてくれ。

















ホントはあたしは『マテ』なんて出来ねー性格なンだよ。







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