忍たまの部屋

□酒盛り
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乱「? 何これ?」


し「『ワイン』だよ。南蛮のお酒。パパが分けてくれたんだ。折角だから皆で呑まない?」


というわけで


土「こうなったわけか。ι」


六年生の長屋のどんちゃん騒ぎに担任である土井 半助が見に来たとき学級委員長の庄左ヱ門が説明した。


曰く、しんべえがまた南蛮からの品を取り寄せそれを振る舞ったらしい。しかし今回は飲み物で、あまつ『ワイン』という酒だという。


六年生となり、時々このような事があるのだが、どうやら今回は乱太郎も呑んだという。


乱「ん〜…フフフ♪き〜りちゃん?」


き「ら、乱太郎!?ι////」


ニコニコと笑いながらきり丸の首に腕を回し顔を近付ける乱太郎。


乱「き〜りちゃん大好きよ〜?」


き「ちょっ、お前呑みすぎ…///ι」


そんな乱太郎から離れようと肩を押すきり丸。しかし決して嫌などでは無いのは赤く染まった顔を見れば一目瞭然だ。


団「乱太郎ぉぉ!俺はぁぁぁ!?ι(泣)」


泣きながら乱太郎の背中に張り付く団蔵に乱太郎はあっさりときり丸から離れて団蔵に抱き付く。


乱「団蔵も大好きよ〜?」


金「乱太郎ぉぉ!僕にも言ってぇぇ!!(泣)」


乱「ん〜…フフフ、金吾はぁ大きくなっても泣き虫だねぇ。でも、そんな金吾も大好きよ〜? 」


団蔵を抱き締めながら隣に来た金吾の頭を優しく撫でる乱太郎。それに喜三太も金吾の上にのし掛かりニコニコと笑いながら乱太郎に撫でて撫でて〜と甘える。


乱「喜三太は格好良くなったけど昔と変わらず可愛いなぁ。良い子だねぇ♪」


喜「エヘヘ♪乱太郎大好き!!」


そんな5人の後ろでは顔を真っ赤にして床に転がる三治郎と虎若。


隣には怒り上戸の伊助と笑い上戸の兵太夫と、そんなの知らないと言うように呑み食いするしんべえ。


土「カオスだな。ι」


庄「すみません、いつもなら乱太郎は呑まないで騒がしくなる前に皆を寝かせれるんですが…ι」


申し訳なさそうに眉尻を下げる庄左ヱ門に土井はそういえばと聞く。


土「庄左ヱ門は呑まなかったのか?」


庄「いえ、呑みました。けど乱太郎が今の状態になって一気に醒めちゃいました。」


確かにあれはマズイだろう。なんといったって乱太郎は女の子。最近ではサラシでは押さえきれなくなるほど成長した胸を惜し気もなく顔面に押し当てて、普段は可愛いだけなのに酒のせいで今は色気を醸し出している。


おまけにそんな状態で一人一人に『大好き』なんて、襲ってくれと言っているようなものだろう。


土「はいはい!お前ら明日が休みだからとハメを外しすぎだ!そろそろお開きにしなさーい!」


パンパンと手を叩きそう言えば酔っていてもちゃんと分かっているようで『はーい』と元気に返事をしてゾロゾロと片付け始める。


団「土井先生〜俺立てませーん。」


見ると団蔵は未だに乱太郎を抱き締めていた。


土「立てないのか?立つ気が無いのか?ι」


団「いや、俺の息子はもう勃っちゃう…」


き・金「団蔵てめぇ死にさらせぇ!!!!(怒)」


団蔵の顔面に向かいクナイが飛び、それを乱太郎ごと避けると金吾が刀を振りかざしていた。


団「Σバッカ!危なっ!乱太郎も居るんだぞ!?ι」


き・金「乱太郎に当てるか馬鹿!」


喜「あ〜も〜!乱太郎放してよ団蔵!僕もギュウするの〜!」


ナメクジ壺を片手に立ち上がろうとする喜三太に土井はこめかみを押さえて止める。


土「喜三太、お前それを投げようとしてるのか?このカオスに更にそれを投げるきか?ι」


喜「大丈夫ですよ土井先生、僕のナメさん達は団蔵だけを襲ってくれますよ。」


ニコニコと害のない笑顔だが、は組もここまで成長してきただけに最近ではその笑顔が怖いと教師陣に言われている。特に嫌味と親父ギャグ大好きな六年い組の担任、安藤に、だ。


土「それでも、だ。私が止めてやるからお前も片付けに入りなさい。ι」


しかし六年間も担任をしてきた土井は動じる筈もなく懐の得物を取り出して喜三太には辞退させた。


庄「土井先生、今日は乱太郎は部屋に戻さない方が良いですよね?」


土「あ〜…別にきり丸を信用していないわけじゃ無いけどな。ιあれは破壊力抜群だもんな。」


そして土井はヒュンッとあるものを投げる。それは綺麗に団蔵の額を直撃。


ヒュンッヒュンッと更に続けて投げ、きり丸と金吾の頭にも直撃した。


き・金・団「Σいってぇぇー!?ι(泣)」


自分に当たったものは何かと足元に落ちたそれを見ると


乱「あれ〜?チョークだぁ。」


クスクス笑いながら乱太郎はそれを拾い、振り返る。


乱「土井せんせ〜いらしてたんですかぁ?」


コテンと首を傾げながらトテトテと土井に近付きチョークを差し出す。


土「乱太郎、お前珍しく呑んだみたいだが、大丈夫なのか?」


乱「大丈夫ですよ〜?フフフ、せんせ〜も呑みますか?しんべえがくれた『ワイン』、呑みやすくて美味しいですよ?」


どーぞと湯呑みに入った赤い液体に乱太郎と湯呑みを交互に見る。


土「興味はあるが乱太郎、取り敢えず今日のところはお開きにしてくれるか?」


するとどこか不満そうな顔をする乱太郎に土井は頭を撫でる。


土「ははっ、お前が珍しく呑んで旨いと言うならそうなんだろう。後で山田先生と呑むから一先ずここを片付けてからな?」


乱「ん〜…ダメです!呑んでください〜!」


クイッと湯呑みを自分に傾けると、ぐいっと土井の襟元を掴み口付ける。


土「へ?ちょっ、Σんぅ!?ι」


全「Σあぁーー!?ι」


ググッとただ口を押し付けてくる乱太郎に段々と土井も体勢が辛くなり、いつしか土井が乱太郎を見上げる体勢になる。


土「Σんぅぅん!?ι」


するとそれを待っていたのか乱太郎は土井の口を抉じ開け中に先程口に含んだ酒を流し込む。


コクンコクンと喉を鳴らす土井に乱太郎は満足げに目を細め、ゆっくりと唇を離す。


口から伝う赤い液体を指で拭い、チュッと舐めるそのさまは色っぽく、は組の男どもを刺激した。


土「ら、乱太郎!!お前何して…////ι」


ぐいっと口元を拭う土井の顔は真っ赤だ。


乱「美味しかったでしょ?せんせ♪」


土「味なんかわかる訳ないやろがーー!!///」


兵「乱太郎!!僕にも呑ませて!?ι」


三「僕も僕も!!」


庄「お前ら充分呑んだろがーー!!乱太郎、土井先生と同じやり方で次は僕にもやって!!」


伊「いつも冷静な庄ちゃんが壊れたぁ!ι」


ぎゃいぎゃい言うは組の面々に、乱太郎は首をコテンと倒してニッコリ笑うと


乱「イ・ヤ♪」


全「Σ何で!?ι」


すると乱太郎は土井に抱き付くとチュッと更に口付ける。


土「Σらん…!?ι」


乱「私は愛してる方にしかしないの♪」


土「Σあ、愛って…!?ι////」


全「どーゆう事ですか土井先生!?ι」


土「私が聞きたいわ!?ι」


全員に詰め寄られた土井は、しかし訳がわからず怒鳴る。


乱「フフフ♪土井先生?愛してますよ〜?////」


乱太郎は上機嫌にまるで猫のように擦り寄る。それも頬を染めているから余計にそれが嘘では無いように思った。


土「ちょっ、乱太郎お前!?ι////」


慌てて引き剥がすと乱太郎は眉尻を下げ悲しそうに土井を見る。


乱「土井先生、お嫌ですか?」


土「Σちょっ、嫌じゃなっ…!!あ〜も〜こっち来い!ι」


ぐいっと抱き上げ部屋を出ると待たしてもは組から悲鳴が上がり追いかけようとするが、それまで唯一動じず呑み食いしていたしんべえが前に出て皆を止めた。


し「みんな〜待って待って。」


き「止めるなしんべえ!俺の乱太郎が土井先生に汚される!?ι」


団「きり丸のじゃあ無いだろ!!乱太郎は俺の嫁だ!!」


金「団蔵のでもないよ!乱太郎は僕のお嫁さんになるんだ!」


喜「えぇ〜?乱太郎は僕のお嫁さんになってもらいたいのになぁ。」


庄「皆して勝手なことを。乱太郎はうちの若女将になるんだよ。」


伊「庄ちゃん実は酔ってるだろ!は組の頭脳なんだから正気になってぇ!?ι」


虎「そーだよ!乱太郎は佐武の奥方になるんだよ!」


伊「虎若ーー!!お前も黙れぇ!?ι」


兵「伊助お母さん〜乱太郎を私の嫁に下さい〜(笑)」


伊「だぁれがお母さんだー!?(怒)」


三「お母さん〜吐きそうです〜ι(泣)」


伊「よぉーし吐いてこい!兵太夫の頭からぶっかけちまえコノヤロウ!!(怒)」


し「みんな〜、一先ず落ち着かない?」


コントのようになってきたは組にこれまたのんびりした声でしんべえが言うと戸の場所でどっかりと座った。


し「乱太郎を追いかけるのは駄目だよ〜?ここを通りたかったら僕を倒してね?」


は組一、いや、今や学園一の怪力の持ち主のしんべえに素面ですら倒すのは一苦労の面々は『う”っ…ι』とたじろぐ。


それに満足げに笑い、しんべえは『あのねぇ』と話始めた。


し「実は乱太郎、皆が自分に好意を持ってくれてるのは知ってたんだよ。」


全「Σはっ!?ι」


し「でも、皆の事は友達としか見れないし、何より先輩達と同じで自分の意見を聞いてくれないから恋愛感情な持てないって言ってたよ?皆はいつも今みたいな言い争いして乱太郎のことほったらかしでしょ?」


すると全員、覚えがあるのか気まずそうに目を逸らす。


し「それで毎回皆の言い争いを止めてくれるのが土井先生でしょ?しかも女の子の乱太郎を一番に認めて見守ってくれた土井先生のことが好きなんだって。」


き「何でしんべえがそんなこと知ってんだよ!?ι俺は聞いてないぞ!?ι」


しんべえに詰め寄るとしんべえは何でもないように


し「そりゃ、きり丸も乱太郎のこと好きだからでしょ?僕も乱太郎のこと好きだけど友達としてだし、きり丸は土井先生の家族だから相談できなかったんじゃない?」


き「……う、うわぁぁん伊助お母さーん!?ιι(泣)」


伊助に思わず抱き付くと伊助はきり丸の顔が自分につかないようにギリギリで押さえる。


伊「だーー!?ιきり丸!顔から出るもん出まくってる!?ιつか、僕だってショックなのに何でこんな役目なのさーー!!(怒)あとお前らマジでいい加減に僕をお母さんと呼ぶなぁぁぁ!!」


伊助の悲痛な叫びにしんべえは『伊助って文句言いながらもちゃんと面倒みるよねぇ。今だってきり丸の背中撫でてあげてるし。』とほのぼのとした気持ちで見守り、先程出ていった二人を想う。


し(乱太郎、土井先生の事は諦めてたもんなぁ。でも、僕からしたら二人ともお互いを好いているのはバレバレだからくっついちゃえばいいのにって思ってたし、これはいいきっかけになったんじゃないのかな?乱太郎にとっても皆にとっても。)


そろそろ血の涙まで流しそうな級友にしんべえは仕方無いと言うように一人一人にワインを配る。


し「ほら皆呑んで呑んで。乱太郎が好きなら好きな子の幸せを願わなくちゃね。」


唯一の彼女持ちのしんべえに言われては反論も出来ない面々は、もうやけ酒だ!とワインの他に日本酒まで取り出し酒盛りは朝まで続いた。


翌朝、すっかり二日酔いのは組一同が食堂に向かうと何故か困惑気味の乱太郎と疲れたような土井がいた。


し(あ〜ι乱太郎ってばもしかして昨日のこと覚えてないのかもね。土井先生可哀想に、きっと耐えていたのかも…ι)


一人なんとなく理解するしんべえはポンッと担任教師の肩に手を置くと苦笑いを浮かべる。


土「しんべえ、お前もう乱太郎に酒を呑ますな。ι」


し「ご免なさい先生。でも、乱太郎の気持ちは本当ですよ。(ボソッ)」


土「Σおまっ!?ι」


し「じゃあ頑張ってね先生♪乱太郎〜僕も一緒に食べていい〜?」


害の無い笑顔で乱太郎の隣に座り、しんべえはおばちゃんに朝食を頼む。


土「………コイツら、確かに成長したと思っていたが一番に成長したのはもしかして、しんべえかもな…ι」


ニコニコと昔から変わらない笑顔で朝食を食べる二人を見ながら土井は生徒の成長を喜ぶべきか厄介だと嘆くべきか悩む。


土(乱太郎の気持ちは本当、ね。クソッ、ずっと我慢してきた私が馬鹿みたいじゃないか。アイタタタ…ι)


そっと痛む胃を押さえ土井は乱太郎を見る。


土(なら、私ももう我慢はしないよ乱太郎。昨日のことをお前が覚えてないなら思い出して貰う。それから私の気持ちをちゃんと聞いて貰うよ。)


一人決意し、土井はご飯を口に運ぶ。


さて、ライバルは多い。しかし、昨日の事で乱太郎が自分を好いていると知った土井。それを真にするにはどうやって口説いていくか考えなければ。


end

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