討鬼伝

□たまには女らしく
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紅月「はい、王手です。」


パチンと盤の上に置かれたそれを見て水無月は少し考えたがお手上げだとため息。


水無月「………フゥ、参りました。やはりお強いですね紅月は。」


紅月「水無月も中々、お強かったですよ。もう少し腕を上げれば、今後の勝敗がわからいですね。」


水無月の家で将棋の勝負をしていた二人が笑い合っていると、そこに椿とグウェンがやって来た。


椿「どう?紅月に勝てたかしら?」


水無月「あと一歩でしたが負けてしまいました。」


グウェン「おおっ!やったな紅月!」


水無月に勝った紅月に笑えば紅月もニコニコして頷く。


紅月「では水無月、約束の命令ですよ。」


水無月「仕方ありません。この水無月、覚悟を決めましょう。」


姿勢を正して紅月の『命令』を待つ。実はこの二人、勝利したものが敗者に一つだけ命令を下すと約束していたのだ。


紅月「命令は簡単です。今日は一日、装備を解いて女の子らしい格好をして過ごしてください。」


何とも意外な命令だったが、水無月にとっては驚きを隠せない命令だった。


水無月「Σえぇ⁉ιでも任務がありますよ⁉ι」


隊長となった水無月は積極的に任務へと出掛ける。実際にこの後、すぐに任務へ出掛けようと思ってたくらいだ。


椿「貴女、ここに来てから殆んど休みなかったじゃない。今日と明日はお休み。装備も武器も身に付ける事を禁じれば、今日一日は確実に里にいるでしょ?」


グウェン「それにずっと装備と襦袢しか見たことがない貴女の普段の姿を見てみたい。だから強引だが、賭けとしてこの勝負を紅月に頼んだんだ。」


どうやら最初から仕組まれていたようで水無月はガックリと項垂れる。


水無月「騙された……しかし、命令は命令です。慎んでお受けしましょう。」


取り敢えず頷けばキラーンと椿とグウェンの目が光る。


椿「それじゃ早速………」


パンッ。


グウェン「着せ替えさせてもらうぞ!」


水無月「え?え?つ、椿?グウェン?ιι」


扉を閉めて迫り来る二人に水無月は困惑。


紅月「宜しくお願いしますね二人とも。」


紅月の言葉に良い笑顔で頷けば二人が水無月に襲い掛かったのだった。


水無月「Σキャー!待って待って!!恐い恐い二人とも恐いですー!ιιι」


水無月の悲鳴を隣の小料理屋の店主の久遠が聞いていたが、ソッと合掌したのだった。
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