ありえないくらい奇跡
□出会いは突然に
1ページ/3ページ
7月23日、金曜日。
英燐高校に入学して初めての夏休みがやってきた。
終業式を終え、生徒達は一斉に下校する。
私達三人は真っ直ぐ家には帰らず、少し寄り道をして近所の公園でたむろっている。
叶笑「やっと待ちに待った夏休みがきたよ〜‼」
親友の叶笑は満面の笑みを浮かべ、とても楽しそうだ。
右京「叶笑ちゃん嬉しそうだね〜」
叶笑「そりゃあそうですよ‼こちとらこれ(夏休み)だけが楽しみで毎日頑張ってきたんですから‼」
奏樹「一ヶ月以上も前から『まだかな〜、まだかな〜』って言ってたもんね」
叶笑「だって、夏休みってイベント山盛りじゃん?海にプールに祭りにキャンプ‼極め付けは…」
すると叶笑は両手を前に出し手を下に垂れさして「恨めしや〜」と言いながらブランコに座っている幼馴染で先輩の右京お兄ちゃんに近付く。
右京「はははっ‼肝試しだねw」
奏樹「叶笑と右京お兄ちゃんはそーゆーの大好きだよね」
そう、この二人はお化けや幽霊などの怪談系やホラー系が大好きなのである。
毎年恒例で夏にはみんなで遊園地のお化け屋敷や地元の幽霊屋敷に行って二人ではしゃいでいる。
私は別に好きというわけではないけど、怪談やホラーは平気な方だしなんだかんだで楽しいからいいのだけれど、私の兄の銀と妹の緋織はそういったものが苦手で毎年引き摺られながら強制連行されている。
特に兄の銀はヘタレで怖がりな上に霊感があり、たまに見えるので毎年泣き叫んでいる。
何年か前にみんなでお化け屋敷で有名な遊園地に行った時は連れて行こうとする叶笑と右京お兄ちゃんにお化け屋敷の前で柱にしがみ付き喚き散らしていた。
大の大人が大声で泣き叫んでいる様はとても人目を引き、私は必死に目を逸らし他人のフリをしていた。
まぁ、結局強制連行されて終わった頃には屍になってたけど。
叶笑「あったりまえじゃん‼夏といえば肝試しっしょ♪」
右京「うんうん♪夏の肝試しって特別楽しいよね♪」
奏樹「まぁ、わからないでもないけど…」(苦笑
叶笑「今度またみんなでお化け屋敷とか行こうよ‼」
右京「うん、行こう行こう♪」
すっかり二人の中では行く事になってしまい、私は苦笑いを浮かべるしかなかった。